主人は3代目となる木庭健次郎さん(35)。
「酒屋としては80年を超える歴史を持っているんですが、角打ちを始めたのは10年ほど前。母の発案で、それまで酒を置いておく倉庫だった場所を、角打ち処にしたんです」
意外なことに木庭さん自身は、角打ちがスタートした時点では『こば酒店』からは離れ、大手コンビニチェーンのサラリーマンとして働いていたという。
「父が酒屋部門を担当し、ふたりいるうちの上の妹が角打ち部門を切り盛りしていました。最初はご近所さんが来てくださる程度だったんですが、酒の品揃えがよくて安く飲めるということが口コミで広がって、ファンが増えてきましてね。角打ち3年目の頃には、自分もサラリーマンをやめてこの店を手伝うようにしたんです」
3本の道路が交差している場所だから六つ角。この店はそのうちの2本の道路にはさまれていて、一方の道路に面して落ち着いた風情の酒屋が客を迎え、もう一方の道路側に角打ち客を迎える入り口がある。
現在は、角打ち処の中心となっているのが下の妹の梨栄さん(31)。調理関係もすべて彼女が受け持っている。
「お酒は兄がしっかり揃えていますから、私はつまみに関して気を配っています。ほとんどを占めるサラリーマンのお客さんが喜んでくださるもの、女性にはヘルシー系のものですね。簡単なものばっかりですけど、だいたい60種類は揃えています」