国際情報

中国に仲間なし インドから日本まで民主主義国組めば牽制可

 資源、食糧の輸入大国となった中国の弱点は、貿易を海の交通に大きく依存していることだ。周辺の海洋民主主義国家が連携し合うなら、中国の暴走は牽制できると指摘するのは慶應大学大学院特別招聘教授の谷口智彦氏だ。

 * * *
 13億の胃袋は巨大だ。史上最大の遠洋漁業国となった中国からは、漁船も遠く大西洋まで出て行く。資源、食糧をますます海に頼りつつ、同盟相手をもたない中国は、洋上交通を自分で守るしかない。それが、周囲の懸念を無視して中国が海軍力強化にいそしむ一つの大きな理由だ。 

 遠からず、大型艦船や潜水艦を太平洋の真ん中に押し出すことになるだろう。その際、出入口になる関所に当たる位置に沖縄の島々があり、南シナ海がある。ここを自分たちの自由にしておきたいと考えるのは、中国にとっていかにも「合理的」なことであるに違いない。

 まさしくそこが中国の弱点になる。中国は海に依存せざるを得ず、頼れる仲間はいない。それならインドから日本まで、海洋の自由を重んじる民主主義国家が手を組めば、中国を牽制できるだろう。

 まずは中国の圧力をひしひし感じつつある日本が、その旗振り役になるべきだ。

 アメリカのオバマ大統領はアジア太平洋を「最も重要な地域」と位置付け、財政緊縮下でも関与を強める方針を打ち出した。これは同盟国日本にとってプラス。加えてオーストラリア、インドと連携すれば、海洋民主主義のネットワークが姿を現わす。そこにはシンガポール、インドネシア、ベトナムが加わる。

 中国はそれらの国といたずらに対立する道をとることはできない。身勝手な振る舞いを、少しは改めるだろう。

※SAPIO2013年2月号



関連キーワード

トピックス

被害男性は生前、社長と揉めていたという
【青森県七戸町死体遺棄事件】近隣住民が見ていた被害者男性が乗る“トラックの謎” 逮捕の社長は「赤いチェイサーに日本刀」
NEWSポストセブン
体調を見極めながらの公務へのお出ましだという(4月、東京・清瀬市。写真/JMPA)
体調不調が長引く紀子さま、宮内庁病院は「1500万円分の薬」を購入 “皇室のかかりつけ医”に炎症性腸疾患のスペシャリストが着任
女性セブン
学習院初等科時代から山本さん(右)と共にチェロを演奏され来た(写真は2017年4月、東京・豊島区。写真/JMPA)
愛子さま、早逝の親友チェリストの「追悼コンサート」をご鑑賞 ステージには木村拓哉の長女Cocomiの姿
女性セブン
1980年にフジテレビに入社した山村美智さんが新人時代を振り返る
元フジテレビ・山村美智さんが振り返る新人アナウンサー社員時代 「雨」と「飴」の発音で苦労、同期には黒岩祐治・神奈川県知事も
週刊ポスト
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
【視聴率『愛の不時着』超え】韓国で大ヒット『涙の女王』 余命宣告、記憶喪失、復讐など“韓国ドラマの王道”のオンパレード、 華やかな衣装にも注目
【視聴率『愛の不時着』超え】韓国で大ヒット『涙の女王』 余命宣告、記憶喪失、復讐など“韓国ドラマの王道”のオンパレード、 華やかな衣装にも注目
女性セブン
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
タイトルを狙うライバルたちが続々登場(共同通信社)
藤井聡太八冠に闘志を燃やす同世代棋士たちの包囲網 「大泣きさせた因縁の同級生」「宣戦布告した最年少プロ棋士」…“逆襲”に沸く将棋界
女性セブン