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半導体不足はまだら模様、電子製品向けは需要急減 TSMCの株価も下落続く
半導体不足はまだら模様、電子製品向けは需要急減 TSMCの株価も下落続く
 深刻だと言われていた半導体不足の現状はどうなっているのか。それを見通す上でのヒントとなるのが、世界最大の半導体受託メーカーであるTSMC(TSM、ニューヨーク証券取引所上場)の株価推移だ。今年に入ってから、株価の下落トレンドが続いている。 過去最高値は今年1月13日の場中で記録した145ドル。7月1日は前日比5.8%下落し、77ドルで引けており、最高値からの下落率は47%に達している。マーケット全体が大きく下げる中で売られてしまうのは仕方のないことかもしれないが、それを考慮しても高値から半値近い下落は異常だ。ファンダメンタルズの悪化を意識せざるをえない。 最高値を更新した年初あたりまでは、“新型コロナ禍が収束し、消費が回復、サプライチェーンは早晩、正常化するだろう。イノベーションの進展により構造的に半導体需要は伸びるはずだ”との予想が優勢であった。しかし、その後はそうしたポジティブな見通しが徐々に後退、6月に入ると米国が速いペースでの利上げを余儀なくされる見通しが強まり、“グローバルで景気が悪化するのではないか、半導体需給は緩むのではないか”といった懸念が高まり、売り圧力が増している。 こうした見方を裏付けるような情報も出てきた。台湾メディア(電子時報)は7月1日、TSMCの三大顧客が発注量を一斉に引き下げたと報じている。 アップルはiPhone 14シリーズの量産を既に始めているが、当初1億台としていた出荷目標を1割削減、9000万台とした。AMD、NVIDIAは、PCやブロックチェーン・マイニングなどの需要急減から、発注の調整を余儀なくされた。AMDでは今年第4四半期から来年第1四半期にかけて、7nmおよび6nmプロセス製造の半導体、2万チップ分の発注を削減、NVIDIAでは発注時期を遅らせるとともに、2023年第1四半期の発注量を削減した。 自動車向けの半導体不足は依然として深刻なようだが、ボリュームの大きい電子製品向けについては、雲行きが怪しくなっている。数十年に一度の変動の時期か 景気減速懸念による市場への影響は農作物先物指数にもはっきりと表れている。シカゴ小麦先物価格(直近限月)は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で2月下旬から3月上旬にかけて8割を超す上昇となった。その後、上げ下げがあったが、5月中旬に戻り高値を付けた後は急落、7月に入るとほぼ2月下旬の水準まで戻している。 ロシア、ウクライナからの農産物の輸出が滞る影響は現在も残るものの、グローバルで農産物が豊作であり、また、他の地域からの補充もうまくいっている。供給面での不安が薄らいでいる上に、米国を中心に各国がインフレ対策として金融引き締めを急いでおり、世界景気が急減速する懸念が高まっている。需給両面から小麦先物価格は急落している。 ウクライナ危機に伴うエネルギーやコモディティ価格の上昇や、中国のゼロコロナ政策に伴う工業用品価格の上昇など、供給側の要因で起きたインフレは、世界全体で吸収することで、ある程度緩和される可能性がある。一方、グローバルで進む金融引き締め政策は景気をオーバーキルさせてしまい需要を必要以上に委縮させてしまう懸念もある。 こうした状況下で、株式市場、為替市場の値動きを予測することは、いつもにも増して難易度が上がっている。グローバル経済は数十年に一度の変動の大きい時期にあるのかもしれない。 短期間にここまで大きく下がったのだから、株は逆張り、為替は円高反転に期待する投資家も出てくるかもしれない。ボラティリティが高いということは、逆に考えれば期待されるリターンも大きいと捉えられるが、将来の予測が難しい時期だけに、くれぐれも資金管理は厳重にしてほしい。文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。
2022.07.06 07:15
マネーポストWEB
二人の緊密な関係は、2013年から
【プーチンと習近平】世界でもっとも危険なふたり 習近平が“籠絡”されたプーチンからのプレゼント
【プーチンと習近平・連載第2回】二人の緊密な関係は、2013年にプーチンが習近平にサプライズで手渡した“あるもの”から始まった。ジャーナリスト・峯村健司氏がレポートする。(文中敬称略。第1回から読む) * * *「我々二人はとても似ている」 2013年3月22日、モスクワ中心部のクレムリン(大統領府)。わずか1週間前に国家主席になったばかりの習近平は、少し硬い表情で控室に入った。この日のネクタイの色は青。重要な会談や演説の時に習が好んで結ぶことが多い「勝負ネクタイ」だった。 遅れて入室してきたロシア大統領のウラジミール・プーチンと両手で握手をすると、習は満面の笑みで、こう語りかけた。「我々二人はとても似ていると思う」 同行していた中国政府関係者は、習が発した突然の言葉に驚いた。「あらかじめ用意した文言ではありませんでした。『似ている』とおっしゃった意味がよくわかりません。二人の性格なのか、政治スタイルなのか、戦略観なのか。随行者の間でも分析は分かれました。ただ普段は言葉数が少ない習主席が、こみ上げる喜びを抑えるように語りかける姿が印象的でした」 これに対して、プーチンはどのような受け答えをしたのだろうか。先の中国政府関係者は続ける「プーチン大統領は最初、無表情でした。習主席が『似ている』とおっしゃった真意を測りかねているように見えました。しかし、プーチン氏はあいさつが終わって、会見場に向かう廊下を歩いている時には、機嫌がよさそうにほほえんでいました。それは、首脳会談などで、思い通りに進んでいる時に浮かべる不敵な笑みでした」 この証言を裏付けるように、プーチンは会談では饒舌に語りだした。習が初外遊先としてロシアを選んだことについて「両国関係を重視する互いの姿勢と関係の特殊性を示している」と評価した。そしてこう続けた。「明日、あなたのために特別なイベントをセットした。私たちからのプレゼントも用意している。きっと喜んでくれると思う」 翌23日夜、訪問の全行程を終えた習は、プーチンに告げられたモスクワ市内の会場に向かった。そこで待っていたのは、12人の中国専門のロシアのシンクタンク研究者たちだった。一人の初老の女性が習に歩み寄り、白黒の写真がとじられたアルバムを手渡した。 このアルバムには、習の父、習仲勲が副総理になったばかりの1959年、ソ連を訪れた時の写真が集められていた。習仲勲はソ連の先進的な工業技術を学ぶため、機械製造や金属加工の工場などを視察した。帰国後は、中国で工場の建設や技術の指導を受けるため、ソ連から技術者を招く事業の取り仕切った。 この老人は当時、習仲勲の訪問に同行した通訳だった。それを知った習近平は老人の手を握り、何度も振りながら、こう感嘆した。「これは天意だ」 プーチンが用意したサプライズの演出に、習が“籠絡”された瞬間だった。10年前に同じ夢を描いた 興奮気味の習は、12人の研究者らとの懇親会で両国関係についての自説を語り始めた。「ロシアも中国も偉大な国で文化を有している。我々の最も重要な課題は、精神的かつ文化的に関係を強めること、永久に友人であること、そして決して敵対しないこと。中国とロシアの『夢』は一致しているのだ。我々は共に協力し、新しい成果を得なければならない」 その前年の11月、中国共産党トップに就任した習は、中華民族の偉大な復興の実現を目指す政治スローガン「中国の夢」を掲げていた。かつてローマ帝国に及ぶ広大なシルクロードを勢力下に置き、文化や経済でリードした中国の栄光を取り戻すことを目標に掲げている。シルクロード経済圏構想「一帯一路」構想をはじめとする習近平政権の強硬外交の礎となった。2017年の第19回中国共産党大会では、毛沢東思想などと並んで党規約に盛り込まれている。 興味深いことに、習はその「中国の夢」と「ロシアの夢」が一致している、と指摘している。 その10年後に起きるロシアによるウクライナ侵攻をあたかも予見するような発言といえる。「プーチンは世界がタイムスリップして、国連ができる前の時代、つまり帝国が世界を支配していた時代に戻ってほしいのだ。しかし、世界の他の国々は前進している。今は1919年ではない。2022年だ」 今年2月に開かれたウクライナ戦争をめぐる国連安全保障理事会で、米国連大使のリンダ・トーマス・グリーンフィールドがこう指摘したように、プーチンは、18世紀のロシア帝国時代の領土に対して正当な権利を持っていると主張して、ウクライナ侵攻に踏み切った。 かつての帝国の版図を取り戻す──。 10年前に同じ「夢」を抱いたプーチンと習が今、連携を強めているのは、いわば宿命なのだろう。初会談で習がプーチンに「我々は似ている」と言ったのも、こうした相似形を指摘したのだろう。レーニンの愛読書に影響を受けた 懇親会での習の思い出話は続く。熱っぽくロシア文学への思いを語った。「我々の世代には西側にあこがれる人間が多いが、私は中国とロシアの文学を読んで育った。プーシキンがとても好きで、3年前にサンクトペテルブルクを訪れた際、彼が学んだ学校を参観した。トルストイの『戦争と平和』や、ドストエフスキーの『罪と罰』、ゴーゴリの『死せる魂』、ショーロホフの『静かなドン』などの作品も読んだ」「最大の趣味は読書」と語る習らしいエピソードだ。 中でも習が「心が揺さぶられた」と絶賛する一冊が、ロシアの思想家であり作家でもあるニコライ・チェルヌイシェフスキー(1828~1889年)が書いた長編小説『何をなすべきか』だ。父がソ連から帰国した際に持ち帰ってきたという。「父はこれらのお土産を私に見せながら、自分がいかにソ連を尊敬しているかを幼い私に語ってくれた」 習が16歳の時、文化大革命の影響で陝西省の農村に下放された約7年間、同書を何度も読み返したという。中国共産党による党員向けのサイト、中国共産党員ネットの「習近平の本棚」というページでは、習の過去の発言などを元に習の愛読書が100冊ほど紹介されている。その中の「外国名著」のコーナーで『何をなすべきか』が紹介されている。 チェルヌイシェフスキーは、専制政治を批判する急進的知識人の指導的理論家の一人。1853年から雑誌で農民の立場からの革命を訴え、若者の思想に影響を与えた。「労働者は自らの仕事の結果を所有する権利を持っている」という「勤労者の理論」を提起しており、社会主義の祖、カール・マルクスに高く評価されている。『何をなすべきか』は、チェルヌイシェフスキーが「反政府活動」を理由に逮捕された後、獄中で4か月間かけて書き上げた。主人公の女性をめぐる恋愛が描かれている。しかし、読み進めるうちに、帝政や貧富の格差への批判のほか、女性の解放などを暗示している表現があることに気づく。 そうした部分を見逃し、恋愛部分だけを読んだ刑務所の検閲官は、出版を許したのだ。瞬く間に若者らの反響を呼んで、政府は慌てて発禁処分にしたが時すでに遅し。コピーがロシア中に出回った。 ソ連を樹立した革命家、ウラジミール・レーニンにとっても愛読書の一冊だった。チェルヌイシェフスキーのことを「マルクス以前の社会主義の最も才能豊かな代表者」と評価したうえで、『何をなすべきか』についてこう絶賛した。「この小説の影響を受け、数百、数千の人々が革命家となった。この小説は私をすっかりとつくりかえてしまった」「厳格主義者」となった理由 それでは習は同著のどの部分に感銘を受けたのだろうか。習が「私が不屈の強い人間になろうという目標を持った」と語るのが、ラフメトフという登場人物だ。 20代前半の青年で、文中に脈絡なくわずかに登場する脇役だ。主人公の女性の夫の仲間で、夫が自殺した後に自身が経営していた裁縫店の管理を別の女性に頼もうとする主人公に対し、「あなたを頼りにしてきた50人の人間(従業員)の運命をなりゆきにまかせようというんですね」と、経営者としての責任を追及する場面もある。 ラフメトフは禁欲的で意志が強い性格だ。肉体労働に従事しながら体を鍛え、休み時間は小説を読みふけった。自らの精神力と体力の限界を知ろうと、数百本の釘をむき出しにしたベッドの上に、一晩横たわり、血まみれになったこともあった。 自分を厳しく律して勤勉に働いて社会に献身するラフメトフは職業革命家の理想とされ、若者たちに大きな影響を与えた。おそらくチェルヌイシェフスキーは、冗長な恋愛小説の中に紛らせたラフメトフに自らの社会主義的理想論を説かせたのだろう。 ラフメトフの言動を読み進めるうちに、習近平との類似点が浮かんできた。ラフメトフの性格について同著では、次のように記されている。「ラフメトフは『厳格主義者』というあだ名をつけられている。このあだ名を彼は満足のしるしとして、いつもの陰気な、かすかな微笑をうかべてうけいれていた」(岩波文庫、金子幸彦訳) 習は普段は仏頂面で、あまり表情を見せずに部下たちからは恐れられている。就任以来、「法治」の重要性を掲げ、法やルールによる支配を強めている。党内の反発を押し切って史上最大規模の反腐敗キャンペーンを展開したのも、「厳格主義者」だからこそ敢行できたのだろう。 ラフメトフの生活ぶりについては以下のように紹介されている。「民衆にけっして手のとどかないようなものは、おれは食べるべきではない。このことは彼らの生活が、おれの生活にくらべて、どれほど苦しいものかということをすこしでも知るために、おれにとって必要なことなのだ」(同前) 習は就任してから「ぜいたく禁止令」を出して、政府や党の幹部らに徹底させている。演説でも「自らを厳しく律して国民のために奉仕せよ」と繰り返し、内陸部の農村を足しげく視察している。 政策面で掲げているのは、チェルヌイシェフスキーの書籍により影響を受けたマルクス主義だ。自らが掲げた「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」を「21世紀のマルクス主義」と位置付けてもいる。「父の写真集」を手渡した理由 トウ小平が1978年に市場経済と外資の受け入れを進めた改革開放政策を導入して以降、マルクス主義は影を潜めていた。筆者が2005年から留学した中国人民大学でも、マルクス主義に関する講義は人気がなかった。共産党や政府の役人を輩出している大学にもかかわらず、教師や学生がマルクス主義を議論している場面を見たことはほとんどなかった。 習の「マルクス回帰」は、中国政治における大きな転換なのだ。 その影響は、経済面にも出始めている。経済成長を重視してきた改革開放政策によって急拡大した貧富の格差を正すため、習政権は「共同富裕」を掲げている。共同富裕について習は「社会主義の本質的要求」と位置付けており、稼いでいる大企業に寄付をさせ、貧困層に還元していくことで、平等な社会を実現していくやり方だ。 こうしてみると、一冊の小説が習の考え方に、そして政策の行方に影響を与えていることがわかる。 国際政治について、学術界では政治システムや理論が重視される傾向にある。メディアでも政府の発表文書や会見が注目されることが多い。 しかし、権力を集中させた「一強体制」を敷いている中国やロシアの政治や外交政策を分析するには、それだけでは不十分だと筆者は考える。 政策をトップダウンで下す習やプーチンの思考そのものを分析することが極めて重要だからだ。 どのような幼少期を送ったのか。 両親からどのような影響を受けたのか。 どんな書物を読んだのか。 厚いベールに包まれた両国の独裁者の情報は多いとは言えない。本連載では公開情報をできるだけ拾ったうえで関係者の証言で肉付けし、2人の「頭の中」を解明していくことで、両国関係やウクライナ戦争の行方などについて分析していきたい。 話を習の初訪ロに戻そう。 プーチンはなぜ、習に父の写真集を手渡したのだろうか。習がロシアに親近感を持った原点が、1959年の習仲勲のソ連訪問時の土産であり、土産話だったからだろう。プーチンの計略通り、習のロシアへの郷愁を誘い、両者の関係も一気に近づいた。 だが、習仲勲のソ連訪問は素晴らしい思い出話だけで終わらなかった。その後の習家の悲劇が始まる引き金となった。(第3回につづく)【プロフィール】峯村健司(みねむら・けんじ)/1974年長野県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業後、朝日新聞入社。北京・ワシントン特派員を計9年間務める。「LINE個人情報管理問題のスクープ」で2021年度新聞協会賞受賞。中国軍の空母建造計画のスクープで「ボーン・上田記念国際記者賞」(2010年度)受賞。2022年4月に退社後は青山学院大学客員教授などに就任。著書に『宿命 習近平闘争秘史』(文春文庫)、『十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争』(小学館)など。※週刊ポスト2022年7月8・15日号
2022.07.06 07:00
週刊ポスト
日本は世界が憧れる国だと思っていたが……(イメージ)
在日経験のある外国人たちが「日本の没落」を口にし始めているという厳しい現実
 日本は世界でも有数の治安の良さと安定した経済の国で住みやすい、と長らく日本人は信じてきたが、どうやらそれは過去のことになっているらしい。ライターの森鷹久氏が、在日外国人達の本音から垣間見える、日本の「没落」についてレポートする。 * * * 何かにつけ「日本はスゴイ」と自負してきたが、かつてのように豊かで過ごしやすく、世界から憧れられる国ではなくなってきていると、愛国心を標榜するネットユーザーでも認めざるをえないほど、その「没落」を実感しつつある。もっとも、何を持って「貧しい」とするかは人によって見解も大きく異なるだろうが、やはり日本の「格」が落ちつつあることを、かつて日本で働き、暮らした人から聞くと説得力が違う。「日本はもういいです、行きたいとは思いません」 筆者のオンラインインタビューに答えてくれたのは、ベトナム在住の自動車販売会社経営・フォンさん(仮名・30代)。彼は新型コロナウイルスの感染拡大直後までは「技能実習生」として、関東某県の水産物加工場で働いていた。だがコロナ禍によって工場を経営する親会社の業績が悪化すると、勤務日を減らされ、月に十数万円ほどだった給与が下げられたという。 ただでさえ少ない給与がさらに減ることは、フォンさんにとって人生を揺るがす大事件だった。というのも、彼は莫大な借金を背負って日本にやってきていたからだ。 海外からの実習生の中には、多い場合では100万円近い手数料を母国の業者に支払い来日していた人が少なくなかった。フォンさんも、その支払いのために借金をし、来日後に働きながら借金を返すという実習生の一人だったのだ。そもそも外国人技能実習生の募集においてブローカーが介在することは禁じられているし、たびたび摘発もされてきたが、希望通りの国へ確実に派遣される方法としてのニーズは根強くあり、だからこそこうした業者がは今なお存続している。そんな業者を介して希望した日本へフォンさんはやってきていた。 技能実習生の給与は1か月15~20万円ほどだと言われ、そこから社会保険料や所得税・家賃・水道光熱費、滞在先によってはWiFi使用料等が差し引かれるため、手取りは十数万円というケースが多い。決して高給取りではないところに、コロナ禍で仕事が減って給与が削減されると、母国で待つ家族への送金はおろか借金も返せなくなってしまった。明日食べるものにも困る実習生が相次ぎ、犯罪に手を染めるものがいたことは、読者もご存知の通りだろう。 コロナ禍で技能実習生の窮状が伝えられ始めた頃、不正を働いて金銭を得ようとする外国人を取材するため、SNSで見つけたアカウントのひとつにメッセージを送ったのが、筆者とフォンさんの接点だ。筆者が初めてフォンさんのSNSアカウントを発見した時、そこには日本円の札束や、スマホに挿入して使用する大量の「SIMカード」の写真などが投稿されていた。言葉で明確に記しているわけではないが、特殊詐欺などのを行う犯罪グループが、身元の特定を防ぐために、不正に入手したSIMカード用いること思うと、後ろ暗い交友関係によるサイドビジネスを始めていることがうかがえた。「友達にスマホを何台も契約させて、それを転売しました。販売先はおそらく日本のマフィア。でもお金になるから気にしなかった。来日していたベトナムの友達だけでなく、フィリピンとかタイとか、いろんな人にも声をかけ、お金を儲けました」(フォンさん) フォンさんにとって、日本は憧れの国だった。日本旅行を経験した両親から「日本人はみんな優しい」「街はどこも綺麗で未来的」と聞かされて育ち、日本人のファッションを真似たり、日本のテレビを見て漫画を読み漁った。だが、実際に来日して、お客さんではなく働く一人にとって、日本という国や日本人は優しくないことを思い知らされ、日本に裏切られたような気持ちになった。「コロナになってからの日本人は、さらに優しくなくなった。お金もくれない、差別もするから、ベトナム人だけでなく外国人(実習生)みんなが日本を嫌いになりました。だから、悪いことをしてもいいと思うようになった。お金だけ稼いで、早くベトナムに帰ろうといつも話していた」(フォンさん) フォンさんははっきりと語りたがらないが、SNSの投稿を見る限り、スマホの不正入手や転売だけでなく、日本国内で使用される身分証明書の偽造にも関わっていたようだ。こうした犯罪は、日本人の首謀者がいて、弱い立場の外国人が実際の任務を請け負う場合がほとんどだが、そのなかでもフォンさんは実行部隊のリーダー格だったと思われる。母国出身者や同じ実習生の外国人を集めて犯罪行為を促し、リーダーとして割り増しの報酬を確保していたと見られる。事実、誰の名義かまではわからないが、フォンさんは日本滞在中にトヨタの四駆を乗り回し、在日同胞に高級焼肉を振る舞ったり、旅行に連れていった際の写真を多数アップしていた。 SNSアカウントに掲載されている、フォンさんと一緒に写真にうつる外国人の中には、北関東エリアにおいて農作物や家畜の窃盗に手を染め、逮捕された容疑者の顔もある。彼らは、日本人から見れば外国人による「組織犯罪グループ」そのものである。しかし、フォンさんには罪の意識がほとんどない。それはやはり、日本への失望があったから、そして自分達を見下す日本人に「やり返したい」という気持ちがあったからに他ならない。「このまま日本にいては死ぬと思った。だから少し悪いことでもやって、お金を貯めて国に帰った。人を殴ったりはしていない。そのお金で、車の会社を始めた。いい人もいたが、ほとんどの人が外国人をバカにした。日本への憧れはないし、今は嫌い。二度と行きたくない」(フォンさん) 窮した在日外国人が違法と脱法を繰り返している実情は極端な例かもしれない。そんな人の日本観を聞いても極論だと思うかもしれないが、もっと余裕があるはずの外国人の言動からも「日本の没落」を感じる瞬間が増えてきた。 コロナ禍に収束の兆しが見え、韓国や中国人たちが「コロナ明け、日本に旅行に行きたい」というインタビュー映像がテレビで放送されているのを、筆者は眺めていた。筆者の中国人や韓国人の友人も「早く日本に行きたいねと」言ってくれるから嬉しい気持ちになったが、詳しく話を聞くと、以前の感情とは少し違うらしいことがわかる。「日本に行って欲しいものは薬くらい。食事やショッピングは中国の方が充実しているし、似たような顔の日本人が、中国とは全く違う文化の中で生活しているのが面白い。あと、日本人は気が弱いから、他の国に行くよりも自由さを感じられる。女の子も、自然な感じで小さくてかわいいしね(笑)。あと、上海より何もかも安い。それこそ、夜の遊びは上海の半分以下で楽しめる。中国のあまりお金を持ってない人でも、日本に行けばたくさんモノを買える」 こう話すのは、上海在住の中国人の友人だ。欧米へのコンプレックスと、でも中国は今ではアジアで一番なのだという自負が混ざった、正直な言葉だろう。彼に悪気はないのだろうが、日本人の筆者としては正直なところ、面白くはない。さらに「日本の安さ」を指摘されると、アジアナンバーワンを自負していた日本の没落を嫌というほど痛感するしかない。さらに、韓国人の友人はもっとはっきり、我が国の没落を指摘する。「昔は日本に憧れていたけど、今は同じか、少し韓国の方が勝っているんじゃないかと思う。音楽やファッションなど最新文化では、完全に日本を追い越しているように感じるし。日本で働きたいという韓国人は、以前は多かったし僕もそうだったけど、今はそう思わない。韓国でも若い人は給料が低いけど、日本人ほどじゃないし」 若者は高学歴でも仕事がなく稼げない自国の経済状況を「ヘル韓国」と自嘲し、だから日本で働きたいと言っていた数年前が嘘のようだ。もちろん韓国の若者たちの生活だって厳しいし、それ故に出生率も日本同様に低水準だ。それでも日本よりもマシなのだと彼らは思っていることが伝わってきた。 日本が「格下」になったという認識は、外からの目だけではない。長年、いわゆるネット上の「保守業界」をウォッチしてきた筆者が感じているのは、特に中国や韓国を見下すような言説が、以前ほどコンテンツとして消費されなくなってきていることだ。ただ残念ながら、こうした業界周辺が「差別的」ではなくなった、ということではない。あのムーブメントこそ、今思い返してみると「先進国」らしさを少しでも抱いていたいという、歪んではいるものの「プライドの残滓」だったのかもしれない。事実、当時より日本が進歩した、成長したと思われる部分は、現在何一つない。 コロナ禍収束の兆しが見え始め、新たな国際社会の序列、図式を目の当たりにした時「負けていられない、頑張ろう」と思える、底力のある日本人がどれほどいるのか。別に「外国人に好かれようとすべき」とは思わないが、日本を嫌いになり、見下す外国人が目立ち始めていることは確か。厳しい現実ではあるが、この事実から私たちは多くのことを学ばなければ、未来はない。
2022.07.04 16:00
NEWSポストセブン
自動車メーカーを襲う半導体不足 生産遅れが続く日本車と販売台数増加の中国車の差
自動車メーカーを襲う半導体不足 生産遅れが続く日本車と販売台数増加の中国車の差
 日本では自動車の生産が需要に追い付かなくなっている。トヨタ自動車のウェブサイトによれば6月21日現在、注文から工場出荷までにかかる期間は、人気車種・アクアで6か月程度、ヴォクシー・ハイブリッド車では6か月以上かかるという。そのほかのほとんどの車種は“詳しくは販売店にお問い合わせください”とだけ書いてある。【写真】販売台数が大幅に増加している中国・BYDの新エネルギー自動車 一方、その理由については、はっきりと記されている。“コロナ感染の拡大並びに世界的な半導体部品不足により、現在、多くの車種で生産遅れが発生している”からだ。 コロナ感染拡大については、中国を含めグローバルで収束しつつある。心配なのは半導体不足の方である。 現在、自動車向け半導体の主な大手メーカーは、インフィニオン・テクノロジーズ(ドイツ)、NXPセミコンダクターズ(オランダ)、ルネサスエレクトロニクス(日本)、テキサス・インスツルメンツ(米国)、STマイクロエレクトロニクス(オランダ)など。スマホやパソコンなどと比べれば市場規模はまだ小さく、中堅メーカーが多い。 自動車に使用される半導体は、車両の動きを制御する「マイコン」、電力、電圧などの電気系統を制御する「パワー半導体」、制御の中でも判断を行う「プロセッサー」、距離、画像などの情報を測定する「センサー」などに大きく分類される。新エネルギー自動車への移行に伴い、1台の自動車に使われる半導体の種類は多様化し、数量は急増している。 もちろん、半導体需要が増えているのは自動車ばかりではない。情報通信の高速化、量的拡大、モノのインターネットの普及などによる電気製品への装備の浸透、高度化などが重なり、パソコン、スマホに限らず、あらゆる電気製品で需要が増えている。 自動車向けの半導体は、故障が生命の危険に直結しかねないために、収益の割には設備投資が高額になったり、製造に手間、時間がかかったりする。世界最大の半導体受託製造企業であるTSMC(台湾)に製造を委託しているメーカーも多いが、そのTSMCでは自動車向け半導体の製造設備増強に消極的なようだ。そうした点も踏まえると、自動車向け半導体不足はしばらくの間、続きそうである。中国では新エネルギー自動車の販売台数が大幅増 中国は自動車生産量が圧倒的に多い上、新エネルギー自動車への転換が最も進んでいる。その中国で現在、景気を回復させるための中核政策の一つとして自動車需要拡大政策が打ち出されている。 具体的には全国規模で600億元(1兆2000億円、1元=20円で換算)規模の購入税減税が実施されており、各地方は独自に新エネルギー自動車普及のための補助金政策、免税政策などを強化している。 果たして、半導体不足といった供給側の制約から政策が空回りすることはないのだろうか。 5月の国内自動車販売台数は186万2000台で、前年同期比では13%減だが、4月比では58%増であった。この内、新エネルギー自動車販売台数は44万7000台で、前年同期比では105%増、4月比では50%増であった。地方レベルの政策は5月中旬あたりから実施されており、その効果がはっきりと表れている。さらに、産業構造が大きく変化しており、新エネルギー自動車への移行が急速に進んでいる。少なくとも、中国では半導体不足による自動車供給への影響は大きくないようだ。 半導体を大量に使用する新エネルギー自動車について、最大手であるBYD(01211)の5月の新車販売台数は11万4943台で前年同期比148%増である。4月と比べても8%増えている。3月にはガソリン車の生産から撤退しており、すべてが新エネルギー自動車となっている。 また、新興新エネルギー自動車メーカーである理想汽車(02015、LI)は新車投入もあり、5月の納品車数は1万1496台で、4月と比べ7329台増加している。小鵬汽車(09868、XPEV)、蔚来集団(09866、NIO)も前年同月比でも5月比でも販売台数を伸ばしている。 2021年における中国の自動車販売台数は2627万4820台で、アメリカの1.7倍、日本の5.9倍に達している。半導体メーカーが限りある半導体をどこにより多く回すかという点で、ボリュームの大きい中国(中国企業)には大きなアドバンテージがある。 また、中国の各メーカーは昨年の早い段階から半導体の確保に動いており、メーカーとの間で長期的な供給契約を交わしている。半導体メーカーに良い条件をいち早く提示するなど、経営の機動力も高い。いまのところ中国は半導体不足をうまくかわしているようである。文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。
2022.06.29 07:15
マネーポストWEB
空母を6隻体制にする目的は?
3隻目の航空母艦を進水させた中国海軍 2035年までに6隻体制へ大増強
 中国海軍はこのほど3隻目となる航空母艦を進水させたが、2035年までに新たに3隻の空母を実戦配備し、全部で6隻の空母打撃群を展開する計画であることが分かった。中国が空母を主力とする軍事プレゼンスを増強するのは、日米両国による中国への海上封鎖線を突破し、台湾侵攻作戦を成功させることが目的とみられる。カナダの軍事専門誌「漢和ディフェンス・レビュー(漢和防務評論)」(電子版)が報じた。 中国は現在、ウクライナ製の空母を改修した「遼寧」と国産第1号の「山東」の2隻の空母打撃群を展開。すでに、3隻目の空母が上海近郊の長興島の江南造船所で完成・進水しており、「福建」と命名された。福建省からとった名前で、同省と台湾海峡をはさむ台湾を意識して名付けられたとみられる。 中国メディアは1月下旬、「福建」に搭載予定の早期警戒機「空警(KJ)600」のテスト飛行が成功したと報じていることから、福建はテスト航海を経て、2、3年後には就航するとみられる。 KJ600は半径500kmをカバーするレーダー・電子機器を備えており、早期警戒機を搭載していない前2者と比べて、敵探知能力は飛躍的に向上している。 また、「福建」は、艦載機の発艦システムとして「スキージャンプ」式を用いる遼寧、山東とは違い、最新鋭の電磁式カタパルト(射出機)を搭載。満載排水量も前2者の6万から7万トンに比べて8万5千トンと大型化している。また、艦載機も約100機と前2者の2倍程度も増強していることから、台湾防衛のほか、沖縄県尖閣諸島の防衛など日米安保体制堅持への重大な軍事的脅威になることが懸念されている。 習近平国家主席は「海洋強国の建設を着実に推進し、わが国の海洋権益を断固として守らなければならない」と強調し、アジア太平洋地域を中心に海軍力の増強を宣言するなど、米国海軍に対抗する姿勢を露わにしている。4隻目の空母も現在、遼寧省大連市の造船所で建造が始まっている。 漢和防務評論によると、5隻目は海南島の造船所で、6隻目も上海の江南造船所で建造することが決まっており、中国は11隻の空母打撃群を擁する米軍と対抗する姿勢を強めているという。
2022.06.29 07:00
NEWSポストセブン
中国国防省が弾道ミサイルの迎撃実験成功をHPで発表
中国軍が「弾道ミサイルの迎撃実験に成功」と発表 自国の核兵器防衛が目的か
 中国国防省は6月19日、自国領土内で弾道ミサイルの迎撃実験を実施し、「所期の目的を達成した」とホームページ上で発表した。その日のうちに発表された短い声明では、実験場所や実験システムの種類、迎撃されたミサイルなど詳しい情報は明らかにしていない。弾道ミサイル迎撃システムの開発は米軍が先駆けて進めているが、今回の実験で中国人民解放軍も米軍と対抗できるレベルであることが判明した。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。 発表によると、実験場所は中国の国境内の陸上であり、このミサイル迎撃実験は「防衛的なものであり、どの国にも照準を合わせたものではない」としている。今回の実験は、2010年以来に中国が公表した6回目の陸上での弾道ミサイル迎撃実験で、2021年2月の実施に次ぐもの。 中国人民解放軍のミサイル部隊に勤務していた軍事専門家、邵永嶺氏は実験の翌日の20日、中国国営の中央テレビ局の取材に対して「この技術は中国の核戦力を守るためのものだ。我が国の核戦力の開発は非常に限られており、今回の実験は核兵器を破壊しようとする敵軍の弾道ミサイルを撃ち落とすことが目的であることは明白だ」と指摘した。 また、香港在住の軍事アナリスト、梁国良氏もサウス紙に対して、今回の実験は米軍がカリフォルニア州南部沖でオハイオ級潜水艦から非武装のトライデントII(D5LE)ミサイル4基の発射に成功したと発表した翌日に行われているとしたうえで、「この実験はワシントンに対する抑止力のメッセージでもある。中国には能力がある。米国だけが中国を攻撃できるわけではないことを明確に伝えているのだ」と解説している。 これに先立って、中国の魏鳳和国防相(上将)は今月初め、シンガポールで行われた安全保障サミットで、中国が新しい核兵器の開発で「目覚しい進展」を遂げたと述べたうえで、「これは大きな核抑止力であり、戦争を防ぐのに有用である」としている。
2022.06.28 07:00
NEWSポストセブン
【日本株週間見通し】今週はもみ合いか 企業業績の悪化に対する警戒感も
【日本株週間見通し】今週はもみ合いか 企業業績の悪化に対する警戒感も
 投資情報会社・フィスコが、株式市場の6月20日~6月24日の動きを振り返りつつ、6月27日~7月1日の相場見通しを解説する。 * * * 先週の日経平均は週間で528.97円高(+2.04%)と反発。“二進一退”といった形で週間では戻りを試す展開となった。終値では13週、26週など主要な移動平均線を下回ったままの状態となった。 週明けの日経平均は191.78円安と続落。前の週に急落していたこともあり、自律反発狙いの買いが先行したが、世界的な利上げ加速や景気後退入りへの懸念が重荷にとなり、急失速、一時25520.23円まで下落する場面があった。しかし、21日には475.09円高と大幅に反発。為替の円安進行に加えて、時間外取引の米株価指数先物が全般大きく上昇しているなか、連日の急落に伴う値ごろ感からの買い戻しが続いた。22日は96.76円安と小幅反落。一時26500円を窺う水準まで上昇したが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長による議会証言を控えるなか、様子見ムードが広がった。 23日は21.70円高と小幅反発。パウエル議長の上院での議会証言を無難に通過したことで安心感から買いが先行したが、この日も26500円目前まで上昇した後に急失速した。しかし、週末は320.72円高と大幅続伸。パウエル議長は下院での議会証言で、インフレ抑制に「無条件」で取り組む意欲を示し、経済指標の悪化と相まって景気後退懸念が強まった。ただ、米10年債利回りが3%割れ目前の水準まで大きく低下し、前日のナスダック総合指数が大幅高となるなかハイテク・グロース(成長)株を中心に買い戻しが先行。資源関連株や景気敏感株の下げをカバーして、指数を押し上げた。 今週の東京株式市場はもみ合いか。当局による積極的な金融引き締めが景気後退(リセッション)を招くとのオーバーキルへの懸念が加速しており、企業業績の悪化に対する警戒感もくすぶる中、景気敏感株を中心に上値の重い展開が続きそうだ。 先週のパウエル議長の議会証言は、景気を犠牲にしてでもインフレ抑制を最優先にする非常にタカ派的な姿勢と捉えられ、積極的な引き締めがリセッションを招くとの警戒感が一段と強まっている。リセッションを織り込む動きが加速するなか、将来の景気動向などを映す米10年債利回りは23日に3.08%と、6月14日に付けた高値3.48%から大幅に低下。また、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も、リセッションに伴うインフレ減速を織り込む動きから、同日に2.50%まで低下し、4月21日の最高値3.02%からの下落率は大きなものとなっている。 こうした中、S&P500種指数の構成企業を対象とした12カ月先予想一株当たり利益(EPS)は5月末時点で年初から6%以上も上昇しており、アナリストによる企業業績悪化の織り込みはまだ進んでいない。4-6月期決算が発表される7月中旬以降に業績予想の下方修正が増えることが想定され、米国市場を中心にリセッション・企業業績悪化を織り込む動きが続きそうだ。 一方、ようやく新型コロナ前の水準にまで戻したに過ぎない米国株と比べて、日本株については、株価バリュエーションは既にヒストリカルで見て相当低いところまで低下している。グローバルな景気敏感株とされる日本株が、世界の株式市場の下落の余波を完全に免れることはできないだろうが、下落余地は米国株に比べて限定的だろう。 ここに来てにわかに動意づいているのがグロ-ス(成長)株だ。先週末の東京市場ではマザーズ指数が急伸し、東証プライム市場でもグロ-ス株が久々に強い動きを見せた。リセッションを急速に織り込む傍ら、FRBが想定よりも早い段階で利上げの打ち止め、再緩和への転換を強いられるのではないかと捉える向きが増えていると推察される。 金利の急伸が止まり、低下基調にあることは相場にとってポジティブにも捉えられるが、リセッションを反映した金利低下であることを踏まえれば、手放しで喜ぶことはできない。また、直近の高官発言から、FRBは7月以降も0.75ptの大幅利上げを続ける可能性が高まっている。さらに、6月から始まった量的引き締め(QT)は9月からは2倍のスピードに加速する。 数十年ぶりの大幅利上げの連続実施に加えて、過去にない急速なペースで進めるQTという異例の組み合わせによる引き締め策の進行を踏まえると、グロ-ス株の本格復調を期待するのはまだ気が早いだろう。 当面はインフレ懸念とリセッション懸念の間を行ったり来たりする不安定な相場が想定され、物色動向も定まりにくいと考える。グロ-ス株の上値を追うのも一策だが、小まめな利益確定が必要だろう。足元急速に値を崩している資源関連株や防衛関連株も、それまでの株価上昇の背景にあったストーリーが完全に崩れ去ったわけではないため、売りが一巡した後、再び脚光を浴びる可能性がある。大きく上昇したら利確、大きく下げたところは押し目買いなど、逆張り戦略が奏功しやすい環境と考える。 今週、国内では小売やサービスなど内需系企業の3-5月期決算の発表が始まる。原材料費の高騰や円安進行を背景に厳しい内容が想定されるが、あく抜け感が高まるかなどに注目したい。また、海外では米国で物価関連の指標や半導体大手マイクロン・テクノロジーの決算が発表される。中国では6月製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表予定で、海外市場の動向にも注目したい。 今週は27日に日銀金融政策決定会合の「主な意見」(6月16~17日開催分)、米5月耐久財受注、28日に米4月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米6月消費者信頼感指数、29日に5月商業動態統計、米1-3月期GDP確報値、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議、30日に5月鉱工業生産、5月住宅着工統計、中国6月製造業/非製造業PMI、米5月個人所得・個人支出、マイクロン・テクノロジー決算、7月1日に5月失業率、5月有効求人倍率、6月都区部消費者物価指数、中国6月財新製造業PMI、米6月ISM製造業景気指数などが発表予定。
2022.06.26 08:15
マネーポストWEB
「AV新法」をどう考えるか(イメージ)
AV新法成立でも終わらぬ議論 知識人4人が考える「AVの今と未来」
 アダルトビデオ(AV)の出演被害防止を定めた通称「AV新法」が参院本会議で可決された。女性への出演の強要は是正されるべき問題だが、立憲民主党が性行為を伴うAV自体の禁止に言及するなど、議論はいまなお紛糾している。AV新法のポイントは以下の通りだ。・出演契約は各作品ごとに締結する・撮影の具体的内容を書面で交付する・全ての撮影終了から4か月間は公表を禁止する・AV公表後1年間、無条件で契約を解除できる AVの現在、そして未来について、井上章一氏(国際日本文化研究センター所長)、馬場淳氏(和光大学教授・文化人類学者)、平野勝之氏(映画監督)、安田峰俊氏(ルポライター)の4氏の見解を聞いた。●井上章一氏(国際日本文化研究センター所長) まず前提として、私はAVに関して完全に肯定的な立場ではありません。女性の人権の観点からいえば、AV業界は様々な問題を孕んでいるので、新法に関する議論が進むことには意義があります。ただ、だからといってAVの存在そのものを否定してしまうのは、ちょっと違うのではないか。 AVが普及する以前は、非合法の「ブルーフィルム」がアンダーグラウンドで制作上映されていました。熱海などの温泉街で遊んでいると「お兄さん、いい映画あるよ」などと声をかけられ、結構な額のお金を払うと上映会がこっそり行なわれている場所に連れていかれる。それはおおむねヤクザの資金源になっていて、出演した女性がいいなりになっていたというケースも多かったようです。 しかし、個人が自宅でも観られるAVが普及するようになると、コソコソと上映会に集まる必要もなくなり、ブルーフィルムは絶滅しました。新法による規制が過ぎれば、アンダーグラウンドで映像を制作し、金儲けをする組織が再び出てくることは容易に想像がつきます。 あるドイツ人から聞いた話ですが、1989年にベルリンの壁が崩壊するやいなや、多くの東ドイツの男たちが西ドイツのポルノショップに走っていったそうです。「性的な表現の自由」を求める東ドイツの男たちの思いが、壁を壊すエネルギーに含まれていたのかもしれません。 男というのはみんなオオカミのような本性を隠し持っている。その本性があまりに抑圧される社会になると、いずれ暴発しかねない。むしろポルノがオープンな社会で、男たちをエロに飽き飽きさせて飼い馴らしているほうが治安維持につながるのではないでしょうか。“男女の不平等性”を問題視する声もあります。「女性がモノのように扱われている」との批判ですが、モノ扱いされているのはむしろAV男優のほう。お尻ばかり映されるし、お金も女優さんほど貰えないでしょう。是正するなら、女性たちがうっとりするような美男子が出演する女性向けのAV市場を育むなど、男優の地位向上を図るほうが建設的なのではないかと思います。●馬場淳氏(和光大学教授・文化人類学者) 今やマンガやアニメと同様にサブカルチャーの地位を得た日本のAVは1980年代に登場し、1990年代に入ると企画モノやドキュメンタリー系など、ジャンルが一気に多様化した。なかにはカラミがほとんどない作品まで作られ、そこには「撮りたいものを撮る」という監督の気概や哲学が大きく作用していました。 実験的で多様なAVに映る男優の姿を見て、思春期の若者が自分の欲望や「男らしさ」「正常/異常」について気づきを得ることも多かったと思います。女優が肉体的・精神的に追い込まれる作品を見て、「僕はこの男優のようなことはやらない」とか。自分を発見するためには他者が必要で、AVは自分と向き合う装置の一端を担っていたといえます。 文化人類学の観点からすれば、良いか悪いかは別にして、AVは人類の性行動を広げ、新たな可能性を開拓してきました。人類史的には、バック(後背位)は時間をかけて楽しむものではなく、限られた空間でササッと“済ませる”もので、動物の体位とみなされることもあったのです。AVは第三者からの視覚的な興奮を誘うために自然とはいえない多様な体位を生み、新しい娯楽を開発したといえます。 一方で、2010年代に入ると未成年のAV強制出演問題が浮上した。被害者救済という大きなうねりのなかで、今回のAV新法に繋がっている。 AV新法は画期的ですが、その影響は大きいかもしれません。女優の権利を守ることは当然ですが、今回の規制内容だと意外性や予測不可能性をウリにするドキュメンタリー的な作品も撮りづらくなるのではないでしょうか。 また予定調和のなかでリアリティを追求すると、女優に求められるハードルも上がるかもしれません。俳優並みの演技力が必要になり、今までのような素人が演じられるものではなくなるからです。今後のAVでは、「他者を見て自分を知る」ような刺激や発見を得ることは難しくなるでしょう。●平野勝之氏(映画監督) 中学生の頃から漫画ばかり描いていました。表現するのが好きで、18歳からは自主制作映画を撮影していましたが、「将来は自分の作品でメシを食う」というイメージはずっとあった。25歳の時に上京し、友人に誘われたのがAV制作会社でした。AVには思い入れも抵抗感もなかったのですが、映像関係の仕事ならカラオケ用ビデオでも何でもいいと。 当時の業界は、良くも悪くもグレーでゆるかった。作品はタイトルありきのパッケージ勝負。プロデューサーは中身を見ないから、それを利用して映像で好き勝手に遊ぶことができました。こう言うと不謹慎に感じるかもしれませんが、見る人にトラウマというか、「これはやばいものを見た」と思うような、人格形成の一部分に加担する作品を作りたかったんですよ。それを自由にできる「ゆとり」があったのが、そのAV制作会社だった。 アブノーマルな映像を数多く撮影しましたが、僕にとってはアクション映画を撮っているような感覚だった。自分の作品を見たという若者が「見たことのない映像で影響を受けた」と話しかけてくれるのは嬉しかったし、青春の通過点を切り取ったような、ある程度の手応えを感じられたことは幸せでした。 でも、そもそもの前提として、やっぱりAVってまともとは言えないものを撮っているんですよ。アウトローであるべき業界が、作品数も女優さんの数も増えて、メジャーになり過ぎてしまった。もちろん出演強要問題はメーカーや事務所が責任を持って対処する必要がありますが、格式ばって法律を決めるような業界じゃないと思うんです。「何者かになりたい」と思ってAV業界に入ろうとする女の子には、はっきりと「何者かになんてなれないよ」と言いたい。そういう意味では業界は大きくなり過ぎたのかもしれないし、新法成立による法整備というのはそもそもおかしな話で、疑問を感じますね。●安田峰俊氏(ルポライター) 日本のAVは中国や台湾など中華圏の各地で根強い人気を誇っています。その歴史は古く、1990年代初頭に日本AVの海賊版ビデオテープが香港や台湾に渡り、ダビングを繰り返され中国大陸にも伝わりました。当時すでに飯島愛や夕樹舞子らの人気女優は、アジア規模の知名度を得ていた。その後も近年まで、海賊版DVDや違法ダウンロードなどの形で日本AVは中華圏で流通してきました。「顔射」「潮吹」など中国語として定着した用語も多くあります。 アジアに冠たる日本のAVですが、長年続いたそんな構図が、今や地殻変動を迎えている。近年、中国や台湾で制作されたとみられる高品質なAVが、ネット上で急速に拡散しているんです。 台湾系とみられる「麻豆伝媒」、中国系らしき「抖影」「精東影業」など、すくなくとも20程度のレーベルの存在が確認されている。中国は言論統制が厳しい国ですが、動画を海外サーバーにアップロードする形で、摘発を回避しているようです。無料で視聴できる動画が多いため、作品の販売ではなくアクセス数で稼ぐビジネスモデルと思われるが、問い合わせに回答してくれないので不明な点は今なお多い。 これらの中華圏AVの女優たちはなかなかの美貌で、映像の照明・撮影技術も、日本の作品とくらべて大きくは劣らない。冒頭の女優へのインタビューシーンの挿入や、体位のバリエーション、「やらしょい姉」(“やらしい姉”の誤記)と故意に日本語の題名をつけるなど、制作にあたっての日本のAVの影響は色濃く感じます。 一方で、男優や女優の尻や腹にはレーベル名が直接ボディペイントされ、行為中にいかなる体位をとっても画面内に文字が映り込むなど、いかにも中国らしい商魂のたくましさもみられる。 西遊記や三国志がモチーフのお色気時代劇や、中国内陸部の辺境地帯でのロケ撮影など、作り手の遊び心を感じさせる個性的な作品も少なくない。日本のAVと違い局部のモザイク処理がないので、場合によってはこちらのほうが「実用度」が高いケースもあると感じます。ものづくりやITなど、様々な面で日本を追い抜く中華圏のパワー。日本がもたつけば、AVの世界で日中逆転が起きる日は近いかもしれません。※週刊ポスト2022年7月1日号
2022.06.25 21:00
週刊ポスト
作家の井沢元彦氏による『逆説の日本史』(イメージ)
【逆説の日本史】獄中で書かれた「イエス抹殺論」に隠された幸徳秋水の「本音」
 ウソと誤解に満ちた「通説」を正す、作家の井沢元彦氏による週刊ポスト連載『逆説の日本史』。近現代編第九話「大日本帝国の確立III」、「国際連盟への道 最終回」をお届けする(第1345回)。 * * * すでに述べたように、「大逆事件の主犯」とされた幸徳秋水は、その代表作『廿世紀之怪物 帝國主義』において、明治天皇(当時はまだ今上天皇)については鋭く批判するどころか、むしろ賞賛している。「天皇は平和を好み世界の幸福を願っておられ、いわゆる『帝国主義者』ではいらっしゃらないようだ」と述べている。しかし、帝国主義を撲滅しようとするなら当然その実行者の一人である専制君主も排除しなければならないはずで、この態度は矛盾していると言っていい。そこで私は、本連載の第一三四一回(五月二十七日号掲載)で次のように書いた。「これはいったいどうしたことか。この本の目的は帝国主義撲滅を訴えることだから、ほかの部分で無用な摩擦を避けようとしたのか。つまりこれは外交辞令なのか。それとも幸徳の本音なのか。この点については幸徳の別の著作も視野に入れて検討しなければいけないので、とりあえずは措く」 ここで、このとき保留にした問題、つまり「幸徳秋水の本音」を追究してみたい。その解明の大きなヒントになるのが、「幸徳の別の著作」である『基督抹殺論』である。「キリストを抹殺する」というこの物騒なタイトルの著作は、幸徳の事実上の遺作と言ってもいい。なぜ「事実上」なのかと言えば、逮捕前からこれを書き始め獄中で完成させた幸徳は、最後の著作として『死刑の前』を書き始めたからである。 ところが、目次を作り全体を五章構成にし、第一章「死生」を書き終えたところで死刑に処せられてしまった。だから、完成した著作としては『基督抹殺論』が最後のものとなるわけだ。その内容をかいつまんで紹介しよう。例によって原文は現代人にとっていささか難解なので、テキストとして『現代語訳 幸徳秋水の基督抹殺論』(佐藤雅彦訳 鹿砦社刊)を用いる。〈 〉内(引用部分)はこのテキストによることをお断わりしておく。 序文は、〈私は今拘えられて東京監獄の一室にいる〉という文章で始まる。そして神奈川県の湯河原で療養を兼ねて本書の執筆を進めていたが、突然逮捕されて東京に送られ五か月の空しい時が過ぎたが、予審(戦前に行なわれていた、一種の予備裁判)も終わり自由な時間ができたので執筆に取りかかった、と経緯を述べている。そして、獄中という執筆には最悪の環境のなかで病身に鞭打ってまで本作を完成させたのは、決して満足のいくじゅうぶんな出来では無いものの、たぶんこれが自分の最後の著作となる。だからこそ、自分の知る限り誰も明確に述べたことの無い〈史的人物としての基督の存在を否定して、十字架なんぞ生殖器の表示記号を変形させたものにすぎない〉ことを〈結論づけ〉、世に問うために本書を完成させた、と述べている。 つまり、キリスト教の否定もそうだが、そもそもイエスすら歴史上の実在の人物では無いのだと証明するために、幸徳はこれを執筆したというのだ。それゆえにキリスト教批判を飛び越えたイエス抹殺論になるわけである。幸徳はまず、イエスの言行を四人の弟子、マルコ(馬可)、マタイ(馬太)、ルカ、ヨハネ(約翰)が記録した『新約聖書』の四つの福音書に、肝心な点において異同や矛盾があると述べる。〈耶蘇の奇跡的な生誕のことを、馬可および約翰の福音書は記していないし、彼の昇天のことを約翰および馬太の福音書はまるで知らぬかのような書きようなのだ。人類の歴史の最も重要な二大事件であり、ことに基督が神であることを証明する最も貴重な二大事件であるのに、どうしてこれらの福音書は忘れ去ってしまったのか。忘却でないとすれば、なぜ黙って見過ごしているのか〉 多くの日本人は、キリスト教世界でもっとも重要なお祭りをクリスマスだと思っているが、そうでは無い。たしかにクリスマス(降誕祭)は、キリストであるイエスが赤ん坊の形をとってこの世に降りてきたという重大な出来事を記念する祭りである。しかし、キリスト教徒にとってそれ以上に重要なのは、人間社会でしばらく時を過ごしたイエスが、十字架にかけられ一度は殺されたのに見事に復活し、自分は神だと証明したことを記念するイースター(復活祭)だ。 イエスは復活という奇跡を示したからこそ人間では無く神(キリスト)だということになり、それゆえにイエスの言行を記録した四つの福音書は『新約聖書』に収録されたはずだ。それなのに、その教義の根幹をなしている「生誕(降誕)」と「昇天(復活)」が記されていない福音書があるのはどういうことか、と幸徳は鋭く批判しているのである。そして、幸徳は次のように断じる。〈聖書は神話なのだ。小説なのだ。神話小説として読むのはよかろう。玩ぶのはかまわない。研究するのもまた大いに結構だ。けれども基督の伝記としては半文銭の価値もないのだ〉 そして幸徳は、そもそもイエスが歴史上本当に実在したのか、キリスト教世界以外の歴史家の史書を参照し考証している。たとえば、歴史家フラウィウス・ヨセフス(紀元37年~100年頃。幸徳は「フラヴイアス・ジョセフス」と表記)は、名著『ユダヤ戦記』の著者としても有名だが、イエスの死後(復活後)さほど時を経ないうちに生まれたユダヤ人の大歴史家がイエスのことなどまったく記録していない、と述べている。 つまり、キリスト教とは直接関係が無い第三者的な立場の同時代の歴史家で、イエスの実在を証明する記述をしている者は一人もいないということである。そして、〈宗教は必ずしも個人的建設者を必要としない〉〈祖師が宗教を作るよりもむしろ宗教が祖師を作るというのも、決して珍しいことではない〉(=イエスは後から作られた架空の存在である、ということ)と論を進め、キリスト教徒がイエスの「十字架上の死」に基づいて「十字を切る」習慣があることについても、十字の形は古代から使われてきた男性の生殖器などを示す記号であって、〈基督の磔刑に由来すると考えたり、基督教に専有の記号だと考えるのは、大間違いである〉と指摘する。幸徳はキリスト教の言うべき「三位一体論」についても舌鋒鋭く批判しているが、最後の結論はこうだ。〈基督教徒が基督を史的人物とみなし、その伝記を史的事実と信じているのは、迷妄である。虚偽なのだ。迷妄は進歩を妨げ、虚偽は世の中の道義を害する。断じてこれを許すわけにはいかない。その仮面を奪い去り、粉飾の化粧を?ぎ落として、真相実体を暴露し、これを世界の歴史から抹殺し去ることを宣言する〉 以上の「宣言」をもって幸徳はこの『基督抹殺論』を締めくくっている。たしかに熱のこもった著作であることは間違いないのだが、死刑が予想される苛烈な環境において、幸徳はなぜそこまでこの作品に情熱を注いだのか。普通に考えると、どうしても納得がいかない。しかし、ここで当時の状況を頭に置くと見えてくる仮説がある。その状況とは、他ならぬこの著作の現代語訳者佐藤雅彦が「解説」で指摘しているもので、〈天皇をじかに批判することは、当時の言論出版規制のもとでは事実上、不可能であった。(中略)菅野スガは、幸徳秋水のもとで政府批判の刊行物を出版しようとしたが官憲に発禁処分を喰らい、秘密裏に読者に配布して逮捕され、現在の金額で数百万円相当の罰金を科されて(中略)もはや言論では社会変革など無理だと観念して、直接的な暴力革命を志向するようになったほどだった。〉(『現代語訳 幸徳秋水の基督抹殺論』(佐藤雅彦訳 鹿砦社刊) これが、徳冨健次郎が『謀叛論』で指摘していた「政府の遣口」すなわち「網を張っておいて、鳥を追立て、引かかるが最期網をしめる。陥穽を掘っておいて、その方にじりじり追いやって、落ちるとすぐ蓋をする」だろう。一方、佐藤は、こういう状況下において幸徳は、直接天皇を批判した著作を書いても多くの人には絶対に伝わらないので、こういうやり方を取らざるを得なかった。 つまり、この著作の目的は基督の抹殺では無く、「今上天皇・睦仁」の「神格性」の「抹殺」、「天皇教という迷信」の「打破」であった、と考えているわけだ。この考え方自体は佐藤以前にも存在したものだが、的確な見方と言っていいだろう。私もそう思う。幸徳の本音はそれであったに違いない。そして、私はこの件で幸徳の「手本」になった書物があると推察している。唯一「生き残った」著作 それは、江戸時代の『靖献遺言』である。どんな書物かと言えば、次の説明が一番わかりやすいかもしれない。〈江戸前期の思想書。八巻。浅見絅斎(けいさい)著。貞享四年(一六八七)成立。楚の屈原から明の方孝孺までの、節義を失わなかった八人の中国人の遺文に略伝などを付し、日本の忠臣、義士の行状を付載する。当初は日本の人物を中心にする予定であったが、幕藩体制を考慮して中国のそれに換えた。自説を何ら付していないが、尊皇思想の展開に影響を与えた。(以下略)〉(『日本国語大辞典』小学館刊)「尊皇思想の展開に影響を与えた」とあるが、じつはそんな生易しいものでは無かった。いまでは忘れ去られているが、これはかつて「明治維新を招来した書物」などと評されたこともあったのである。幕末の尊皇思想を研究した山本七平は、その著『現人神の創作者たち』(文藝春秋刊)で、この書物のことを「維新の志士といわれた人びとにとって、この『靖献遺言』は文字通りの「聖書」であった。たとえば頼三樹三郎のように『靖献遺言でこりかたまった男』と評されることは、最大の賛辞であった」と述べている。 私の愛読者なら『靖献遺言』は「右翼」で、幸徳秋水のほうはバリバリの「左翼」だから両者はまったく関係無い、とは思わないだろう。では、どこが幸徳の手本なのか。 明治時代に「天皇をじかに批判することは、当時の言論出版規制のもとでは事実上、不可能」であったように、近代以後のような出版体制の無かった江戸時代においては、「将軍をじかに批判することは絶対に不可能」であった。しかし、朱子学者としての絅斎が望んだのは、「覇者にすぎない徳川将軍家は、日本の統治を真の王者である天皇家に返すべきだ」ということだ。 たしかに、幕末このことは大政奉還という形で実現したが、絅斎の生きていた江戸初期にはそんなことを口にしただけで文字通り首が飛ぶ。まともな出版も無い状況下で自分の想いを後世に伝えるにはどうすればいいか? おわかりだろう。だから「中国人の話」にしたのである。この書物には「幕府を倒せ」という主張も、「倒すべきだ」という意見も載せられてはいない。それゆえ江戸中期以降は出版も許されたのだが、この書物を読めば誰でも痛切に感じるのは、「覇者は倒して、王者が政権の主になるべき」ということだ。あくまで「中国の話」なのだが、それを日本に当てはめれば当然「倒幕」が正しい、ということになる。だから「志士の聖書」であり、それに「こりかたまった男」が尊敬されたのだ。 たしかに、『基督抹殺論』と『靖献遺言』では、めざす体制は正反対だ。しかし、まるで写真の陽画と陰画のように両者には共通点がある。博覧強記で古今の文献に通じ明治人でもあった幸徳は、当然この書物の存在と、厳しい「検閲」をいかにして潜り抜けたかを知っていただろう。だからその方法論に学び、「天皇抹殺論」を「基督抹殺論」に替え、いずれ天皇制打倒に立ち上がる「志士」が多数出現することを願っていたのではないか。 そして、もし幸徳の本音がそうだったとしたら、その目論見は成功したとは言えない。たしかに、この『基督抹殺論』は幸徳の著作がすべて「禁書」となった戦前においても唯一「生き残った」著作となった。しかし、皮肉にも幸徳が打倒をめざした国家主義者たちが、日本の国体を強化しキリスト教を批判するための道具として、これを使った。「あの幸徳ですら基督教は迷妄だと批判していた」という形で、だ。幸徳にとっては不本意なことになったわけである。 では、幸徳の目論見はなぜうまくいかなかったのだろうか? 簡単に言えば、日本の民主主義確立にとって天皇の存在は欠かせなかったという歴史的事実を、幸徳は気づいていなかったか、故意に無視したか、いずれにせよ軽視したからだろう。天皇のカリスマ性を利用しなければ四民平等も実現しなかった。それが冷厳な歴史的事実である。 いずれにせよ、そのカリスマを持った明治天皇の死によって明治時代は終わり、大正という新しい時代の幕が上がったのである。(「国際連盟への道」編・完、第1346回に続く)※週刊ポスト2022年7月1日号
2022.06.24 16:00
週刊ポスト
二人の緊密な関係は、2013年から
【プーチンと習近平】世界でもっとも危険なふたり ウクライナ戦争で習が堕ちた“友情の罠”
【プーチンと習近平・連載第1回】ロシアによるウクライナ侵攻は国際社会から強烈な批判を浴びたが、中国だけは依然としてロシアをかばい続けている。『十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争』(小学館刊)で習近平が中国トップに上りつめるまでの覇権争いを明らかにしたジャーナリスト・峯村健司氏による、世界を混乱に導く2人の独裁者の“個人的関係”に迫るスクープレポートである。(文中敬称略) * * *トランプの一言に動揺 米首都、ワシントン市内で5月7日、米諜報機関、中央情報局(CIA)長官、ウィリアム・バーンズがロシアによるウクライナ侵攻について講演した。ロシアと関係を深める中国の国家主席・習近平の心情の分析を披露した。「ロシア軍によるウクライナへの残虐行為に関連付けられることによって中国の評判が落ちたうえ、戦争に伴って経済の不確実性が高まったことに動揺しているようだ。なぜなら、習近平が最も重視することが『予測可能性』だからだ」 バーンズは言葉を選びながら、習の心の内を読み解いた。伝聞調で語っているが、単なる憶測ではないだろう。全世界に広がる数万人といわれるスパイ・ネットワークから得た情報に裏付けられたものだからだ。 バーンズの「予測可能性」という言葉を聞いて、筆者は2017年4月に米南東部のリゾート地、フロリダ州パームビーチで取材したあるシーンが脳裏によみがえった。ドナルド・トランプの大統領就任後初めて、習が訪米して晩餐会を共にしていた時のことだ。デザートに差し掛かったところで、トランプがフォークを止め、こう語りかけた。「たった今、巡航ミサイルを発射した。あなたに知ってほしかった」 米海軍艦船2隻が発射した59発の巡航ミサイル「トマホーク」が、シリア中部の空軍基地を攻撃したことを告げた。シリアが化学兵器を使ったことに対する報復だった。 同席していた米政府当局者によると、チョコレートケーキを食べていた習は、10秒間の沈黙の後、動揺した様子で後ろを振り返って、「彼は今、何て言った」と通訳に聞き返した。当時の習の様子について、トランプも米テレビのインタビューに次のように答えている。「習氏は『子供に化学兵器を使う残忍な人には、ミサイルを使っても問題ない』と言った。怒らなかった。大丈夫だった」 この習のとっさの回答は、中国政府の外交方針を考えると適切とは言えない。米軍によるミサイル攻撃は、「内政不干渉」「紛争の平和的解決」という原則に反するからだ。米政府当局者が、当時の習の様子を振り返る。「大統領からの突然の通告に動揺しているのが伝わってきました。話しぶりは堂々としていますが、アドリブに弱く、慎重な性格の持ち主だと感じました」 この証言は、冒頭のバーンズの分析と符合する。中国側は、トランプの就任当初、政治経験のない「素人大統領」と軽くみていたが、この会談を転機に警戒を強めた。SNSを通じて政策を発表したり、中国を批判したりする「予測不可能」なトランプに、習近平は手を焼き続けていた。中国外交の原則から逸脱 トランプとは正反対に、18年間にわたりロシア大統領を務めるウラジミール・プーチンは、習にとって最も「予測可能性」が高い指導者の一人といえよう。新型コロナの影響で対面による首脳外交を約2年間控えてきた習が、その再開相手としてプーチンを選んだのは、いわば必然だった。 しかし、そのプーチンとの38回目となる会談が、習の「動揺」の引き金になるとは、予想もしなかっただろう。 北京冬季五輪が開かれた2022年2月4日午後、北京の空港に到着したプーチンを乗せた車列は、北京市内にある迎賓館、釣魚台国賓館に入った。芳華苑のホールで待っていた習は笑顔でプーチンを出迎えると、会談を始めた。「2014年、私はプーチン大統領の招待を受け、ソチ冬季五輪開会式に出席した。その時私たちは『8年後に北京で再会しよう』と誓った。今回あなたが来てくれたことで、私たちの『冬季五輪の約束』は実現したのだ。今回の再会が必ずや、中ロ関係に新たな活力となると信じている」 こう習が切り出すと、プーチンは同意するように左手で机をたたきながら不敵な笑みを浮かべた。「中国はロシアの最も重要な戦略的パートナーで、志を同じくする友人。21世紀の国際関係の手本だ。中国との協力を一層緊密にして、主権と領土を守ることを支持し合いたい」 プーチンも、最大限の賛辞で中国を持ち上げた。2人は会談後、早めの夕食をとると、五輪開会式が開かれる国家体育場「鳥の巣」に向かった。2時間20分の開会式が終わり、日付が変わった2月5日未明、国営新華社通信社が、両首脳による共同声明を発表した。5000字を超える長文には、これまでの声明にはない奇異な表現があった。「中国とロシアは、外部勢力が両国の共同の周辺地域の安全と安定を破壊することに反対する。外部勢力がいかなる口実を設けても、主権国家の内政に干渉することに反対する。NATO(北大西洋条約機構)の引き続きの拡張に反対し、冷戦時代のイデオロギーを放棄するよう呼びかける」 声明では、米国に対する強い不信感と対抗意識がにじみ出ていた。そして、ロシアがウクライナ侵攻の口実にした「NATO拡大反対」について、中国が支持を表明したことは踏み込んだ判断だった。そのうえで、両国関係については次のような記述があった。「中ロ関係は冷戦時代の軍事同盟にも勝る。中ロ友好に限界はなく、協力に禁じられた分野もない」 この表現を聞き、筆者は強い違和感を覚えた。これまでの中国外交の原則から逸脱しているからだ。 中国外交は1980年代から、鄧小平が唱えた「自主独立、非同盟」という考え方が基本方針となっている。NATOや日米などの軍事同盟について、中国政府は強く反対している。「友好に限界はない」という文言は、プーチンのウクライナ侵攻を見据えて、中国側が「支持」をしたとも受け止められる表現だ。米国からの情報を横流し 取材を進めていくと、中国がロシア側に協力していた可能性が浮上した。中国政治の動向を追う北京の米外交関係者が証言する。「米政府は昨年末から、入手したロシア軍がウクライナに侵攻することを示す極秘情報を内々に中国政府に伝えていました。ロシアが侵攻をやめるように中国が説得することを期待してのことです。ところが中国側は、情報を『中ロ関係を引き離すための陰謀』と受け止めて信じなかったうえ、ロシア側に提供していたようです」 米国に強い対抗心と警戒心を抱く習近平政権らしい対応といえよう。中国はなぜウクライナ問題で、外交の基本方針に背いたうえ、米国との関係をより悪化させてまで、ロシア支持に傾いたのか。米外交関係者が続ける。「習近平氏の決断でしょう。これに対し、私が会った多くの中国の当局者や専門家は、今回の首脳会談と共同声明について『ロシア寄り過ぎる』と述べていました。習、プーチン両氏の親密な関係に遠慮して公言しないだけです」 ではこの会談で、プーチンから習に約3週間後に控えた軍事作戦について、何らかの具体的な通知があったのだろうか。米ニューヨーク・タイムズは「中国側は、五輪閉会前に侵攻しないようロシア側に求めた」と報じている。これについて、先の米外交関係者は否定的な見方を示す。「具体的な作戦のタイミングや中身について、両者の間でやりとりはなかったようです。そもそも情報機関出身のプーチン氏が、軍事作戦を他国に漏らすことはありえません。習近平氏は事前にはほとんど知らされていなかったため、戦争の情勢判断を誤った可能性があるとみています」 筆者もこれまで数多くの首脳会談を取材してきた。どんなに関係が深い首脳同士でも、最高機密である戦争に関する情報を事前にやりとりすることはない。この分析は合理的といえよう。 習が何よりもプーチンとの友情を優先させて最大限の協力をしたにもかかわらず、肝心の軍事行動に関する情報を知らされておらず、結果として梯子を外された──。習と配下の間のずれ ウクライナ戦争までの両国のやりとりを見ていると、そのような構図が浮かんでくる。この証言を裏付ける事象が、戦争勃発後に一気に噴出する。 ウクライナ戦争の前夜の2月23日。各国の情報機関は、ウクライナの首都・キーウ市内にある施設に注目していた。在ウクライナの中国大使館だ。中国が自国民の保護に動く時が、軍事侵攻のサインとみていたからだ。 ウクライナは中国の広域経済圏構想「一帯一路」の最も重要な拠点で、キーウには中国から「一帯一路」沿線国を結ぶ国際貨物列車「中欧班列」の終着駅があり、約6000人の中国人が在留している。半ば国策として派遣された中国人労働者も少なくない。 だが、中国大使館は動かなかった。退避のチャーター機派遣を発表したのは、ロシア軍による侵攻翌日の2月25日になってのことだ。実際に退避が始まったのは2月28日で、米欧よりも半月以上も遅れた。こうした中国政府の対応の遅れに対し、中国のネット上では批判の声が上がった。 中ロ両国の外交当局の間でも不協和音が出てくる。習は2月25日、プーチンと電話会談をした。中国外務省の発表によれば、ウクライナ侵攻について、習が「ロシアがウクライナと交渉を通じて問題解決することを支持する」と、プーチンに対して求めたことが記されている。ところがその3日後の28日になって、駐中国ロシア大使館は会談での習近平の発言の一部を付け加えて発表した。「ロシアの指導者が現在の危機状況下で取った行動を尊重する」 ロシアの侵攻に対し、習が理解を示すような発言といえる。両国の発表の違いについて、中国外務省関係者が舞台裏を解説する。「習主席の発言は事実だ。しかし、中国政府内で議論した結果、発表文から削除することにした。ロシアの同盟国であるベラルーシが、欧米諸国による制裁を受けた二の舞を避けるためだ」 ロシア軍の侵攻拠点の一つとなっているベラルーシに対して、欧米諸国はハイテク製品の輸出規制などを課した。ベラルーシとはけた違いに深く国際的な経済ネットワークや供給網に組み込まれている中国が制裁対象となれば、被害は計り知れない。中国外務省がトップの発言を削除したのは、危機感の表われといえよう。 首脳会談と並行して行なわれた中ロ外相による電話会談で、中国外相の王毅はロシアの軍事侵攻について、ロシア外相のセルゲイ・ラブロフにこう釘を刺した。「中国は一貫して各国の主権と領土保全を尊重している。対話と交渉を通じて持続可能な欧州の安全メカニズムを最終的に形成すべきだ」 この会談の中身を知る中国外務省関係者の一人は、王毅発言の真意について説明する。「ロシアによる軍事行動を暗に批判したものです。中国外交の基本原則である『内政不干渉』に反する行為であり、いくら両首脳同士の関係が親密だからといって、支持できるものではありません」 習とその配下の中国政府当局者との間のずれが生じつつあるのは間違いない。 こうした不協和音を打ち消すように、習は6月15日、プーチンと再び電話会談をした。この日は習の誕生日。プーチンからの祝辞もそこそこにウクライナ情勢を協議。軍事交流の強化などで合意した。そのうえで習はこう強調した。「国際秩序とグローバルガバナンスをより正しく合理的な方向に発展させよう。そして核心的利益と重大な関心事に関わる問題を互いに支持しよう」2人の個人的な関係 筆者が北京で特派員をしていた2000年代後半、中国とロシアの関係は友好的ではあったが、それほど密接なものとはいえなかった。むしろ北京では、ロシア研究者や専門家は影響力があるとはいえず、政府内でもロシア政策の重要性は高いとはいえなかった。 ところが2010年代に入ると、両政府間の要人の往来は増え、経済的な結びつきも強くなった。次第に軍事的な結びつきへと広がり、両軍による共同演習は盛んになり、ロシアから地対空ミサイルや戦闘機の中国への売却も急増した。両国はさまざまな分野で関係が深まり、2019年には「全面的戦略協力パートナーシップ」が結ばれるほどになった。 両国関係が加速度的に緊密になったのは、習がトップになってからだ。習とプーチンという2人の個人的な関係が、両国関係を引っ張ってきたといえよう。 異常ともいえる2人の親密な関係はいつ、どのようにして築かれたのだろうか。その起源は習近平が中国トップに就任した2013年3月にさかのぼる。初外遊先として選んだのがロシア。しかも国家主席になったわずか1週間後のことだ。2013年3月22日、モスクワの大統領府に入った習近平はプーチンと会うと、満面の笑みで握手をして意外な言葉を発した。(第2回につづく)【プロフィール】峯村健司(みねむら・けんじ)/1974年長野県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業後、朝日新聞入社。北京・ワシントン特派員を計9年間務める。「LINE個人情報管理問題のスクープ」で2021年度新聞協会賞受賞。中国軍の空母建造計画のスクープで「ボーン・上田記念国際記者賞」(2010年度)受賞。2022年4月に退社後は青山学院大学客員教授などに就任。著書に『宿命 習近平闘争秘史』(文春文庫)、『十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争』(小学館)など。※週刊ポスト2022年7月1日号
2022.06.23 11:00
週刊ポスト
TikTokのバイリンガルライブコマースが中国で大バズり 事業環境が一変した学習塾
TikTokのバイリンガルライブコマースが中国で大バズり 事業環境が一変した学習塾
 中国のTikTokで最近、「東方甄選」というライブコマースが注目を集めている。商品の説明をしているのは董宇輝氏。つい先日まで、オンライン学習塾で高校生の英語講師をしていた29歳の若者だ。中関村(大学やハイテク企業が集まる北京市北西部の地名)の周杰倫(アジアで人気の高い台湾出身の歌手)と称される。流暢な英語を織り交ぜながら、真空パックされたトウモロコシなどの商品のうんちくを軽快な口調で話すといったバイリンガルライブコマースが若者から大きな支持を得ている。“名言”がいくつもある。たとえば、「太陽光線ですら地球に届くまで8分もかかるんだ。君にも時間が必要なんだよ。少し辛抱しよう」とか、「君の苦悩は選択肢が大きすぎるからなのかもしれない。僕みたいに選択の余地がなければ、迷わずに済むんだよ」など、真面目な若者世代に響きそうな言葉を選んで使っている。 TikTokのユーザーは10代、20代の若者が中心であるが、遊びをテーマとしたコンテンツがほとんどだ。しかし、若者のニーズは遊びばかりにあるわけではない。知性が感じられて、気楽に楽しみながら、しかも無料で英語に触れ合えるといったコンテンツは希少性が高い。そのあたりが成功の要因ではないかと分析される。 このライブコマース「東方甄選」を運営するのは、オンライン学習塾の大手の新東方在線科技(01797)である。 中国でこの業界は、厳しい状況に置かれている。2021年7月に発表された「さらに一歩進んで義務教育段階の学生の宿題負担と学外学習負担を軽減することに関する意見」(双減政策)によって、中核ビジネスである学習塾、予備校経営から事実上の撤退を余儀なくされている。 各社が生き残りをかけて、教育関連のハードウエアの販売、職業教育、受験とは直接関連しない大人向け教育などの事業への転換を進める中、同社はこうした事業のほかにライブコマース事業に進出している。ライブコマースと英語学習の組み合わせの“潜在需要” 事業開始は2021年12月。当初は兪敏洪CEOが自ら出演するほどの力の入れようであったが、実績は上がらず、その後、販売は低迷した。冒頭で紹介した董宇輝氏がバズったのは今年6月に入ってからだ。TikTokは一瞬で事業環境さえも変えてしまう力がある。 株価の推移をみると、それがよくわかる。過去最高値(権利落ち調整株価、以下同様)は2020年7月22日の場中で記録した43.45香港ドル。学習塾への当局の締め付けが段階的に強まることで株価は下落、2022年5月12日には最安値2.84香港ドルまで下げている。その後は少し戻したものの、6月2日の終値は3.65香港ドルに過ぎなかった。それが端午節休場明けの6日から16日まで9連騰。16日の最高値は33.15香港ドルまで上昇し、この間、株価は9倍に跳ね上がった。 ただ、その後は売られており、20日は16.98香港ドルで引けている。株価の動きだけを見て仕手株だと結論付けるのは簡単だが、そうとも限らない。 中国本土マスコミ報道によれば、100万人のフォロワーをつかむまで6か月かかっていた「東方甄選」だが、今回の“バズり”で次の100万人は3日間、更に次の100万人も3日間で達成。6月16日現在、フォロワー数は1000万人を超えている。 ライブコマースと英語学習といった奇抜な組み合わせだが、潜在需要は大きいはずだ。学習塾が持つノウハウを最大限に活用することで、オンラインでの“新しい商売”を開拓してくれるのではないかといった投資家の期待も膨らんでいるようだ。 日本では塾講師である林修先生がテレビタレントとして活躍している。作家になった学校の先生、塾講師の方もいらっしゃる。ネット社会では話術や、知識が大きな武器になる。先生と称される方々にとって、ライブコマースでも、YouTubeでも、活躍の余地は大いにあるのではないだろうか。文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。
2022.06.22 07:15
マネーポストWEB
空母を6隻体制にする目的は?
香港で教科書や学校の図書館に制限 天安門事件や中国に否定的な書籍を排除
 2020年6月末に施行された香港国家安全維持法の影響は、小中高校の教育までに及んでいる。中国政府は、香港で使われている教科書が国家の安全を脅かす内容を含んでいないことを保証するよう要求。教師は、中国と「非友好的」な著者の本を扱わないよう自主規制することを余儀なくされ、すでに、天安門事件や中国共産党に否定的な数百冊の本が学校から撤去されたという。 香港紙「明報」が入手した中国当局の内部文書によると、中国教育省は香港特別行政区政府に対して「教科書や副読本は若い学生の心に多大な影響を与えるので、吟味して選ぶ必要がある。正しい歴史観に基づいた良書を選ばなければならない。例えば、習近平国家主席の重要講話集などだ」と指示しているという。 また、英BBCによると、香港の小中高校で使われる新しい教科書では「香港がイギリスの植民地だったことは1度もない。英国は植民地支配を実施しただけだ」と記述。これは、「香港をめぐって中国の主権が途切れたことはない」との中国の主張に基づいているものだ。 中国は「香港をイギリスに渡したのは、1800年代のアヘン戦争における不当な条約のためであり、中国は一貫して主権は放棄していない」としている。 ある香港の高校の図書司書は「不適切」と判断された教材を授業で使ったことで解雇された教師がいたため、図書館に「敏感」なテーマの本があると苦情で教職を失うのではないかと心配し、“悪書”を撤去する作業を行ったという。 撤去された本のなかには、天安門事件に関するものや、同事件で失脚した趙紫陽・元中国共産党総書記やリベラルな思想の持ち主とされた胡耀邦・元総書記らの著書が含まれている。また、欧米の自由主義や資本主義を礼賛した本も除外された。ある学校では、撤去された本は300冊以上に上ったという。
2022.06.22 07:00
NEWSポストセブン
空母を6隻体制にする目的は?
ロックダウン明けの中国で高まる海外移住熱 関連の検索数も30倍に
 上海では5月末に都市封鎖(ロックダウン)措置が解除された。ロックダウンされていた2か月の間、まったく外出できなかったことや、食料供給が不十分だったことして、上海市政府の無策ぶりに市民の批判が集中しているが、一方で市民の間では中国からの脱出に関心が高まり、海外移住を検討する人々が急増していることが明らかになった。中国のポータルサイト「騰訊(テンセント)網」によると、「カナダに移住するための条件」に関連する検索数がロックダウン前の約30倍に跳ね上がっているという。 上海の資産運用会社の経営者は英BBC放送に対して「上海の富裕層の国内外の資産運用をサポートするのが仕事で、多くの移住民コンサルタント会社や法律事務所と提携関係を結んでいる。このところ移住コンサルタントへの相談は例年の4倍以上に増えている」と明かしている。 とくに、ロックダウン解除後の特徴としては「移住を希望している人の多くは中流階級で、年長者は『アメリカやカナダのバンクーバーに行って老後を楽しみたい』と語り、若い人は『オーストラリアに行って、優雅な生活を送りたい』と言っている。これらの移住希望者に共通しているのは超富裕層ではなくとも、中国政府主導による『ゼロコロナ政策』のような人権を無視し、自由な生活を奪うような強権的な中国政府から逃れたいと考えていることだ」と指摘している。 これを裏付けるように、中国ではインターネット上で、移住をテーマにした「潤学」が流行している。「潤」は中国語の発音のローマ字表記が「RUN(ルン)」で、英語では「RUN(ラン=走る)」という意味になることから、転じて、いまの場所から移るということで、「移住」という意味が含まれており、「潤学」転じて「移住学」となる。 中国のウェブサイト「志乎網」によると、いまや「潤」は海外移住の代名詞であり、「華潤万家」は海外のさまざまな国に移住する中国人を指す言葉だ。上海のロックダウン後、中国のネット上では「潤」という言葉が頻繁に使われるようになり、「人々が社会生活をさまざまに圧迫された結果、移住したり、移住を計画したりする現象」を指しているという。
2022.06.21 07:00
NEWSポストセブン
「政策決定過程」が見えないことが、日本の大きな問題と指摘
参議院出馬の猪瀬直樹氏 政策の意思決定が見えない日本は「中国ロシアに似ている」
 コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵略と、世界的な非常時に実施される今夏の参院選。国内外に問題が山積するなか、岸田政権の支持率は各種調査で7割近くに達し、政権発足以来、最高を記録した。しかし、かつて「道路公団民営化」やさまざまな都政改革を実現させた元東京都知事で作家の猪瀬直樹氏は、現政権のある部分に危機感を覚えているという。猪瀬氏が語る。(写真/山崎力夫) * * * 小泉内閣当時に務めた道路公団民営化推進委員会のメンバーは、7人でした。この人数なら徹底討議ができ、会議を原則公開に決めたことで、改革を前に進めることができた。そもそも7人以内でないと、政府の審議会で議論するのは無理があります。現在はだいたい20人くらいいますが、会議が2時間だとして、役所からの説明などもあるから、実質1人2分も発言すれば終わってしまう。結局、事務局である役所が作った作文が採用されがちで、委員の意見を少し取り入れたとしても、それは議論の成果とは言えない。 委員の側が御用で行ったつもりではなくても、御用審議会のような形にさせられてしまうのが、今の審議会のありようです。しかも政府の審議会は公開されず、関係閣僚や日銀総裁、経済団体トップが一同に会する経済財政諮問会議でさえ、議事録の公開は4年後とされています。 極め付きは、コロナ対策の意思決定の場として2020年1月に設けられた「新型コロナウイルス感染症対策本部」。当時は感染状況の把握や水際対策が主なテーマだったとはいえ、会合は国会の合間の15分とか20分しか行われませんでした。役人が読み上げて、大臣が2人くらい発言したら終わりです。その中身も、概要が少し公開されただけで、具体的な審議内容は公開されていない。 政府の審議会の情報公開ができておらず、公文書もきちんと作成されていない。これは大きな問題です。 日米開戦の意思決定過程を僕が『昭和16年夏の敗戦』で書くことができたのは、政府と軍部の意思決定の場である「大本営政府連絡会議」の記録があったから。実際には会議の議事録は公開されていませんが、戦後、役人らが残したメモが出てきました。1945年8月15日には霞ヶ関のあちこちで煙が立ち、太平洋戦争にまつわる重要書類は全て燃やされたにもかかわらず、です。 敗戦の混乱の最中にあっても、秘かに持ち出され、分散して保存されていた公文書が存在していた。戦後、それらをつなぎ合わせることで、なぜ敗けると分かっていたアメリカとの戦争に日本が突っ込んでいったのか、その政策決定過程の発言を拾うことができたわけです。 同書では日米開戦前夜に設置された「総力戦研究所」について調べました。同研究所は軍人だけでなく、文官の若手エリートを多く集め、日米開戦のシミュレーションを行いました。その研究員たちの日記や直接のヒアリング、若干の記録などから再構成することで、そのシミュレーションの内容と、大本営政府連絡会議の意思決定プロセスで、どのような発言があったかを検証できたのです。 歴史の検証に耐えられる、意思決定の情報公開が必要なのです。国会の場合にはテレビ中継などで情報公開をしていますが、参議院議員としては、その場で直接政権に質していくことが必要だろうと思っています。 翻って現在の岸田政権は、改革を志す人たちもいることはいますが、外から見える部分とよく見えていない部分があって、複雑です。そこを「見える化」していくことはとても重要。岸田さんは「新しい資本主義」を掲げていますが、「調整」「調整」とやっていて、調整しすぎて意思決定のプロセスが見えない。 国家の進路にはまずビジョンが必要で、それには審議会の委員や官僚による政策提言が重要です。僕が立ち上げた民間臨調「モデルチェンジ日本」(メンバーに松田公太氏、原英史氏、冨山和彦氏、安宅和人氏ほか)のように、外側からも政策提言をする必要がある。 そしてそれがどういうふうに審議されて、結論に至ったかが見えなければいけない。民主主義とは多数決のことではなく、審議と討論のプロセスのことです。参議院で標榜される「熟議」のように、議論を深めてきちんと熟させ、アウフヘーベンするような結論を導き出すのが本来の民主主義です。 一見、日本は独裁者がいないように見えるけれども、独裁者の心の中で決めたことと、独裁者がいなくても何となく決まっていくというのは、見えない人の心の中で決まっていく点で同じ。審議のプロセスが公開されていない限り、民主主義ではない。中国やロシアと、日本は似ていないようで似ているわけです。 霞ヶ関にたくさんの官僚がいて、それなりに皆一生懸命やっていろいろなことを決めるけれども、そのプロセスが見えない。積極的な情報公開により、政策決定過程の透明化をすることが、この国には必要です。【プロフィール】猪瀬直樹(いのせ・なおき)/1946年長野県生まれ。作家。1987年『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞。1996年『日本国の研究』で文藝春秋読者賞。東京大学客員教授東京工業大学特任教授を歴任。2002年、道路公団民営化委員。2007年、東京副知事。2012年、東京都知事。2015年、大阪府・市特別顧問。主著に『天皇の影法師』『昭和16年夏の敗戦』『猪瀬直樹電子著作集「日本の近代」(全16巻)』があるほか、近著に『日本国・不安の研究』『公(おおやけ) 日本国・意思決定のマネジメントを問う』『カーボンニュートラル革命』など。2022年夏の参院選に、日本維新の会の公認候補として全国比例に出馬予定。
2022.06.18 16:00
NEWSポストセブン
中国国防省が弾道ミサイルの迎撃実験成功をHPで発表
台湾空軍で今年3回目の死亡事故 中国軍機の防空識別圏侵入多発も原因か
 台湾空軍のパイロットが、台湾南部での飛行訓練中に死亡した。今年に入って、台湾空軍機の飛行中の事故は3回目だ。 半年間で3回も死亡事故が続く異常事態について、台湾では、中国の軍機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に頻繁に飛来し、その都度、台湾空軍機がスクランブル(緊急発進)をかけているため、パイロットが疲弊していることや、新人のパイロットの養成が間に合っていないことが原因となっているとの見方が強い。台湾の中央通訊社が報じた。 23歳の徐大均少尉は5月31日、台湾南部高雄市上空で、AT-3軍用ジェット戦闘練習機に搭乗し、2度目の単独飛行を行っていた際、離陸後数分でレーダーから消えた。高雄市消防局の職員が、市街地近くの墜落現場で徐氏の遺体を発見した。 台湾空軍によると、徐少尉は飛行訓練を受けていた5人のパイロットのグループの1人で、他の4人は無事に帰還した。 1月中旬には、台湾の最新鋭戦闘機F-16Vが西海岸沖に墜落し、パイロットが死亡した。台湾空軍はF-16の戦闘訓練を1週間以上中断したが、1月下旬に戦闘を再開させた。 また、3月にはミラージュ2000-5戦闘機が定期訓練中に台湾南東部沖に墜落し、フランス製戦闘機全機が地上待機となった。パイロットは無事脱出し、その後、ミラージュは運用を再開している。 いずれも戦闘機の安全性に問題はなかったということでの運用再開だった。 そうなった背景には、台湾ならではの事情がある。特に今年に入って、中国軍機が頻繁に台湾の防空識別圏に侵入しており、徐少尉が墜落事故を起こした前日の5月30日には中国軍の戦闘機など延べ30機が飛来しており、1日に進入した中国軍機の数としては今年2番目の多さとなった。今年1月から5か月間で、中国軍機の進入数の累計は昨年同期比で1.5倍に増えているという。 台湾国防省は昨年11月に公表した国防報告書で「中国は武力攻撃に至らないいわゆるグレーゾーン事態によって台湾の戦力を消耗させるとともに、民心を動揺させ『戦わずして台湾を奪う』という目標を達成しようと企てており、防空識別圏への軍用機の進入もその手段の1つだ」と指摘している。
2022.06.18 07:00
NEWSポストセブン

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