国内

「吉祥寺のような町をつくれば不動産価値保てる」と三浦展氏

 ローンを組んでマイホームを購入しても、払い終えた時には資産価値はゼロ。それどころか周りは廃屋や空き地だらけ……そんな現実がこれからやってくる。

『下流社会』(光文社新書)などの著書で知られる三浦展氏(カルチャースタディーズ研究所代表)が、今後の不動産事情と地域間格差について予想する。

 * * *
 私は昨年、仕事で訪れた埼玉県狭山市で2LDK、52平方メートルの中古マンション物件の価格が「390万円」だったのを見て一瞬目を疑った。マイホームの資産価値が事実上「ほぼゼロ」になる危険が現実のものとなったのだ。

「地価公示」を見てもバブル崩壊後、東京郊外の地価は基本的に下がり続けてきた。20年前に比べて5~6割減のところが多い。他方、東京・世田谷の三軒茶屋では約3割減で収まっている。

 地価下落の理由は複数あるが、一番大きいのは日本が人口減少期に入ったことである。団塊ジュニアの住宅取得が完了しつつあり、次の世代は人口が減るばかり。新規で住宅を購入する人が減るのだから、値が下がるのは当然だ。

 この大きな流れの中で、郊外住宅地の地域間格差が拡大すると予想される。若い世代を取り込める町とそうでない町の勝ち負けがはっきりしていくのだ。

 魅力的でない町では高齢化と人口減少が著しく進む。かつてニュータウンと呼ばれた町が「オールドタウン」となり、住宅の値はますます下がる。さらに20年もすると、空き家も増え、独居老人しか住まないような「ゴーストタウン」と化す。自分の家だけ補修して価値を保とうとしても、エリア全体の価値が下がればどうしようもない。

 それを防ぐには、ニュータウンで育った若い世代が住み続けたいと思う町をつくること。さらに他の町からも若い世代を集め、一度住んだら住み続けたい町、子供たちも住みたくなる町をつくることだ。

 わかりやすく言えば、東京・吉祥寺のような町である。「住みたい町」として毎年上位にランクインするが、それは単に住宅があるだけでなく、緑豊かな公園があり、お洒落なカフェや趣のある飲食店、洋服のセレクトショップもあるからだ。

 住民が求めるニーズを住宅地に付加すれば若者はその町に住もうとする。さらに今後は働きながら子育てしやすい環境、あるいは男女ともに、都心に出なくても自宅近辺で仕事ができる環境も付加価値となろう。

 そのように住宅地全体をリノベーションしていく必要があるが、その一番の担い手は「住民」になっていくだろう。マンションの管理組合のような組織をつくり、住宅地全体の価値を維持向上していく活動を行なうのである。

 例えば、空き家をリノベーションしてカフェなど住民が集まってくつろげる場所をつくる。あるいは、空き家を取り壊して更地にし、市民農園やドッグランをつくる。そうして土地の権利者に一定の借地料を払えるようにする。

 地域のニーズに合わせて最も必要なものをつくっていく。行政任せにせず、住民自らが考えることが重要だ。

※SAPIO2013年2月号


関連記事

トピックス

真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
優勝11回を果たした曙太郎さん(時事通信フォト)
故・曙太郎さん 史上初の外国出身横綱が角界を去った真相 「結婚で生じた後援会との亀裂」と「“高砂”襲名案への猛反対」
週刊ポスト
伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン