連日連夜、新たな“自首”が相次ぐ食品偽装問題。名前が挙がるのは、いずれも名の知られたところばかり。それだけに阪急阪神ホテルズをきっかけに、やがて名門ホテルから老舗百貨店に飛び火した騒動は、より大きな衝撃を与えている。
今年5月、東京ディズニーリゾートにあるホテルのレストランで、ブラックタイガーを車えびとして提供していたことが発覚。国産鶏を地鶏と表示していたこともわかった。
続く6月、プリンスホテルが運営する施設でアブラガニをズワイガニ、チリ産牛肉を国産牛肉などとして提供していたことが発覚した。
同業他社の誤表示問題を受け、阪急阪神ホテルズは自主的に調査を始め、直営8ホテルなどの計23か所のレストランと宴会場で、メニュー表示とは異なる食材を提供していたと発表した。
しかし、その事実を伝えた10月24日の記者会見で出崎弘前社長は「偽装ではなく、あくまで誤表示でございます」と繰り返し、世間から猛反発に遭う。その4日後に偽装を認め引責辞任を発表するも、時すでに遅かった。阪急阪神ホールディングスの幹部がこう裏事情を明かす。
「出崎社長は、外部からの指摘ではなく自ら率先して不祥事を発表したことを、まるで英断のように思っていた節がある。自ら公表したんだから、世間にも納得してもらえると思っていた。それが最初の会見での傲慢な態度につながってしまった」
その見込みの甘さは業界全体に通底するものだったのだろう。これを皮切りに、前述のように食品偽装は底無しの広がりを見せている。
※女性セブン2013年11月28日号