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嵐山光三郎氏選出 80、90代の老人の凄さが分かる3冊の本

 毎回、評者に1人1冊を選んでもらう書評コーナー。今回は年末年始に合わせ3冊の本をピックアップしてもらった。作家の嵐山光三郎氏がピックアップしたのは、以下の3冊だ。

(1)『不幸は人生の財産』(曽野綾子/小学館)
(2)『99歳一日一言』(むのたけじ/岩波新書)
(3)『極上の流転 堀文子への旅』(村松友視/中央公論新社)

(1)曽野綾子は、言いにくいことをはっきりと言うバツグンのセンスがあって、明解ですっきりする。この書は「明るい老人になる方法」でもあって、耳が遠くなっても料理ができ、視力をなくしても洗濯ができるスーパー老人育成の道が説かれる。曽野綾子さん、ステキ!
 
(2)むのたけじは「おいこら人生、やり残すな、やりとげろ。」だってよ。99歳を目前にした現役ジャーナリストの人生讃歌。ちなみに一二月三一日の項は「老いるにつれて暗黒を恐れず親しむようになった。……最初の出発も、帰結してからの再出発も暗闇からだと知った。」

(3)いま日本で一番スリリングな画家、堀文子(95歳)の冒険活劇的伝記。こういうのを書かせると村松友視はうまいもんですよ。堀文子さんが十七歳のとき、二・二六事件の反乱軍が、銃剣を持って堀家の敷地内を通っていった。それから家出して、おそろしい速さで世界を駈けめぐった天衣無縫の九十五歳。痛快にして波瀾万丈の物語。ゴリッパです。

※週刊ポスト2014年1月1・10日号

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