しかも、グローバル時代のいま、東大の国際的な評価や東大生の学力の低迷が盛んに叫ばれ、「わざわざ東大に行かなくても……」という風潮も出てきた。ある海外留学予備校の関係者がいう。
「東大の授業料や東京での生活費などを出すくらいなら、ハーバードやエールなど米国の名門大学に留学させたほうが子供の将来にとっていいと思っている親も増えています。これらの大学は学費も高いのですが、日本の大学より授業料免除や各種奨学金が充実しています。
例えば、ハーバードでは世帯年収6万5000ドル(669万5000円)以下の学生は授業料が全額免除ですし、個別研究に対する企業からの献金・基金も多く入るので、手厚い支援が受けられます」
日本では有利子で貸与するだけの奨学金も多い中、海外の大学は学生の将来に「投資」する意識が強いといえる。東大も推薦入試より“エリート奨学金”を拡充させたほうが、よほど専門性の高い学生が集まってくるのではないか。
「東大でも世帯年収400万円未満の学生は授業料の全額免除を行っていますが、日頃の成績や研究テーマに応じて奨学金を与えるような制度は乏しい。もっと国や企業が優秀な人材に金銭面でバックアップする仕組みが整ってもいいと思います」(前出・安田氏)
果たして、東大は推薦入試でどれだけ多才な学生を集め、世界に通用する人材に育て上げることができるのか。