猪子氏は後者のケースに苛立っているのだろう。けれども、そういう会議の少なからずは、結論が事前の根回しなどでおよそ決まっており、その結論の了承をとるため形式的に行われているとも聞く。昔から批判の多い日本のムダ会議というわけだが、そもそも議論による合意形成に重きを置いていないので、パソコンで議事録を取る必要もない。会議というものの捉え方が根本から違っており、猪子氏の「正論」に耳を貸す可能性は低そうだ。
むしろ、最近は効率化を進めるために、「ノートPCやタブレットの持ち込みを禁止」している会議が増えている。ネットが使えれば必要な資料をその場で取りだせるなどの利便性がある一方、会議中にメールの読み書きを始めたり、スマホでSNSをチェックしたりという参加者が少なくないからだ。
高校生の「内職」とか「早弁」かよ、と脱力させられるが、そうした会議こそ形式的で中身の薄いムダ会議である率が高いのだろう。ちゃんと授業をやれば生徒も黒板のほうを向くはずだけれども、現実は「IT断食」を決行したら会議時間が半分で済むようになった、など表層的な問題解決で良しとしているところが多い。
どちらにせよ、このあたりの問題で云々言っている会議の場合、パソコンで議事録をとって同時共有したところでたいした効果は期待できない。そういう会議を行っている会社が時代に追いつけているとは考えづらいので、就職活動もピークの今、自分の行く先を迷っている学生にとってはチェックポイントの1つとなるだろう。「議事録をパソコンで打ちこんでいますか?」と質問してみるといい。