街中を流す空車タクシーが、指令を受けて徘徊老人を捜して保護、送迎する。こんなサービスを行なうのは、名古屋市と周辺都市を拠点とする「つばめタクシー」グループだ。
家族の通報を受けた指令センターが居場所を確認、最も近くを走るタクシーがサインを「空車」から「救援」に切り替えて保護に向かう。
対象者には家族があらかじめGPS端末をつけておくことになっているが、万が一外したまま外出していても探索してくれる。
運転手は警備業法に基づく講習を受け、名古屋市消防局が認定する市民救急員の資格を持つ。
「ご依頼から保護までの平均時間は約45分となっており、タクシーならではの機動力を発揮しています。空車タクシーを有効活用すれば収益につながり、同時に地域に役立つ取り組みをすれば企業のイメージアップになる」(つばめ自動車の天野清美社長)
入会金は1万800円、月額5104円(機器レンタルプランの場合)。加えて、対象者を保護してから自宅へ送り届ける際の運賃を実費で支払う仕組み。
現在、100世帯以上の契約を受けているという。老人捜しの要請を受けた運転手には、出動手当2500円が支給される。
また同社は、警備会社並みのサービスも実施している。「押し売りに困っている」「物騒な物音がして不安」という場合、自宅端末の「緊急」ボタンを押せばタクシーが駆けつけ、状況に応じて警察に通報する。
※週刊ポスト2014年7月4日号