最近、消費が増えているのはペットボトル入り麦茶だ。昨年は伊藤園の「健康ミネラル麦茶」の年間累計販売が2000万ケースを記録して話題となった。また、2年連続で増産した茶系飲料生産量549万3200kl(前年比1.1%増)の内訳をみると、烏龍茶が71万1600kl(同4.2%減)、ブレンド茶が67万700kl(同1.1%減)、紅茶が 101万4200kl(同7.4%減)と落ち込んだ一方で麦茶が42万4500kl(同19.4%増)と全体を引き上げている(全国清涼飲料工業会調べ)。

 麦を加工する伝統的な食品であるしょうゆと味噌は生産量が減り続け、今後も減る一方とみられている。ところが、麦茶だけは1980年に3万4千トンだったのが、細かな増減を繰り返しながら現在では約5万トンまで増えている。家で料理をしなくなり、人口減少で食品メーカーはいずれも苦労するなか、昔と変わらぬ麦茶だけが今も日本の家庭で愛され続けている。

「27度を超えるとアイスクリームを食べたくなり、30度だとかき氷を食べたくなると言われますが、暑くなるほど最後に残るのは麦茶だろうと言われています。ノンカフェイン、ノンカロリー、ノンシュガーで子どもからお年寄り、妊婦さんも安心して飲める麦茶の良さが改めて注目されています。昨年暮れは冬でも前年比120%の生産が続き、通年で楽しむ方も増えつつあります。ホット麦茶はとても香りがよいので、ぜひ試してください」(前出・満留さん)

 麦茶には、抗酸化作用や胃の粘膜保護、血液をサラサラにするなどの機能があるとも言われている。婆ちゃんでなくとも、一年中、麦茶をつくり続ける家庭が増えていきそうだ。

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