新指揮官には、期待以上に懸念が大きいようだ。サッカー日本代表の新監督に就任したメキシコ人のハビエル・アギレ氏(55)は、スペインリーグで弱小だったオサスナをチャンピオンズリーグ出場まで押し上げ、メキシコ代表監督としては2度、W杯ベスト16に導いている。
実績は申し分ないが、気の短さも折り紙付き。過去にはたびたび警告や退場処分を受けている。2009年のメキシコ対パナマ戦、タッチラインを出たパナマ選手の腹をサッカーボールのように蹴り上げ一発退場。その後も3試合ベンチ入り禁止となった話は有名だ。
アギレ氏、足クセだけでなく口も悪い。サッカー協会関係者は「あの暴言が日本代表戦でも飛び出さないか冷や冷やしている」のだとか。
その暴言とは「イホ・デ・プータ」。今年1月、スペインリーグの名門エスパニョールを率いていた際にも、主審に腹を立て、この言葉を叫んでしまった。結果、4試合の出場停止処分を受けている。
「イホ・デ・プータ」は「売春婦の息子め!」という意味。スペイン語圏では最大級の侮蔑語だ。
「アジアの大会なら見逃されるかもしれないが、スペイン語を解する審判が多い国際大会でこの言葉を出せば即レッドカードもありうる。もしW杯予選や本戦でやらかしてしまえば……。監督不在で大事な大会を戦うということになりかねない」(前出・協会関係者)
アギレ氏の過激な言葉には、もちろん選手を鼓舞する意味もある。
「彼の最大の武器は“モチベーション・マネジメント”といわれる。選手を褒め、時に叱責することで巧みに選手の心理を操る。しかし、彼はスペイン語圏以外での指導経験がないため言葉の通じない日本人に通用するか疑問です」(スペイン在住の日本人サッカーライター)
年俸は代表監督としては過去最高の2億5000万円(推定)。アッサリ退場して「給料泥棒」と呼ばれないよう、言葉には細心の注意を払ってほしいものだ。
※週刊ポスト2014年8月15・22日号