夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回は寄せられたのは、運送会社勤務のご主人(51歳)。奥様(49歳)は「ニオイ中毒」だそうです。
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無臭が嫌で「何かのニオイがしないと落ち着かないわ」という女房。しかも、ラベンダーの香りとか心地良いのはダメで、鼻をつまむようなニオイを好みます。
僕の寝室の枕も「このニオイ、落ち着くわぁ!」と、頬ずり。「臭い!」といわれないだけありがたいのですが、困るのは一緒に外出した時です。男の人の汗のニオイが好きで、電車に乗るとすぐ、汗をかいてる男性の横に並びます。そして、クンクン! と嗅ぎ、ウットリ。ほとんどの男性が気味悪がって離れていきます。
夏はニオイもキツイので、女房には最高のシーズン。今年のお盆も「アナタの伯父さんの新盆よね。私、行くわよ!」。電車で4時間の僕の田舎へ。お寺での法事には20人ぐらいが集まったんですが、女房は僕と離れ、最後の列にポツンと一人座りました。「何で?」と思ったら、前方から扇風機の風が吹いて、皆の靴下のニオイが全て女房の鼻にいきます。ご満悦の女房。
伯母が「私もそろそろ、危ないかも」というと、つい、口を滑らせ「本当ですか? 来年の新盆、必ず来ますから!」。伯母にもしものことがあっても、この失言で出席はNGだね!
※週刊ポスト2014年9月5日号