では、良質な熟成肉を見分けるポイントは何か。熟成肉炭火焼店「旬熟成」(東京・六本木)などの飲食店を運営するフードイズム代表の跡部美樹雄氏に聞いてみた。

「生の熟成肉の場合は、質のいいものは肉の色がはっきりと赤く、肉臭さがまったくないのと同時に、ほのかにチーズのような香りがします。ねっとりとした触感も特徴的です。また、焼いた熟成肉の場合は、ナッツのような香ばしくも甘い香りがします。

 どちらで食べても良質な熟成肉は口に入れた途端にまろやかに溶け出し、肉の脂が体に蓄積されないので食べやすく、胃もたれするようなこともありません」

 跡部氏は“究極の熟成肉”を目指し、日々実験や研究を重ねている。店で提供する熟成肉の中には、最高で140日間もの熟成をかけているというから驚きだ。

「今後、熟成肉を扱う店舗の人たち、有識者、畜産農家も交えた価値向上のための協会を設立できたらいいなと思っています。

 やはりお客様の口に入るものなので、何か事故があってからでは遅い。安全管理を徹底させて熟成肉がブームで終わらず日本人の食文化に定着してほしいと願っています」(跡部氏)

 牛や豚の生レバー規制など、食の安全がなにかと問題になっている昨今。だが、消費者自身も、もっと食に対する知識を持ち、新しい食べ方の特徴や好みを見極める「五感」を磨くべきだろう。

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