外資系予約サイトがかつてホテルの従業員に行なったアンケートによると、宿泊客としての日本人のマナーはイギリス、カナダ、ドイツ人らを抑えて圧倒的な1位だった。もともとの意識の高さに加え、ルールを順守する精神も強いがゆえなのだろう。
日本人の適応性が顕著に現れているといえそうなのが、分煙ルールではないか。
まだまだ満足するレベルにはないとする手厳しい向きもあろうが、千代田区で路上喫煙が禁止されてからのこの約10年 、喫煙環境は様変わりし、駅のまわりや飲食店等でも様々なかたちの分煙環境を目にするようになった。それとともに、一昔前と比べれば、喫煙者のマナーも向上している。
日本駐在となった夫ともに8年前に来日した米国人女性はこんな言い方をした。
「日本人が分煙に取り組むスピード、その緻密さは凄いと思います。 アメリカでは、建物内を全面禁煙にしても屋外には特に厳密な制限は設けていないので、ニューヨークでもLAでもビルの外ではみんな適当にプカプカやってますし、ポイ捨ても少なからずある。でも、日本人はいったん分煙すると決めたら、喫煙所をきっちりつくってそこに集まって本当にお行儀よく吸いますよね。
コンビニに行けば携帯灰皿は必ず売ってますし、空港や高速道路のサービスエリアの最新型の喫煙所なんてアメリカとは違って、屋外であっても、きっちり屋根や壁もあり、空気清浄機まで入っている所もありますよね。 あれを見るとクールジャパンを実感しますよ」
2020年の五輪は、東京が世界のモデル都市であることをアピールする場になる。「日本人のマナー劣化」は避けたいものだ。