ビジネス

円安による物価上 1年後には月3千円弱の家計負担増の試算も

 都内に暮らす主婦A子さん(41才)は、スーパーに行ってため息を漏らした。

「いつも買っている飲むヨーグルトを何気なく手に取ったら、10円ほど高くなっていたんです。毎朝、家族4人で飲んでいるから、たとえ10円でも値上がりは痛い出費です」

 最近、A子さんのように頭を悩ませるケースが急増している。この秋になって、乳製品だけではなく、『カップヌードル』や『チキンラーメン』のようなインスタントめん、『餃子の王将』や『ユニクロ』といった低価格路線の店舗まで、続々と値上げを発表しているのだ。

「現在の値上がりの原因はドル高円安にある」と、第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣さんは言う。

「政府はデフレを脱却するために、アベノミクスと呼ばれる経済政策の中で大胆な金融緩和を実施しています。それによって市場に多くの円が出回り、一方でアメリカは大胆な金融緩和を終了しようとしているため、ドルに対して円の価値が下がる(ドル高円安)。ドル高円安になると、たとえばこれまで1ドルのモノを輸入するときに100円払っていたところを110円払わなくてはいけなくなる。企業が原材料などを輸入する際の負担額が増えてしまう。最近の値上げラッシュは、この負担増が商品の価格に反映されたものなのです」(永濱さん)

 10月1日には約6年ぶりに1ドル=110円を突破。3年前に比べて30円以上も円安になっている。この状況は私たちの生活にどう影響してくるのだろうか。

「食料品やエネルギーなど、日本は多くのものを輸入に頼っていますから、生活に必要なさまざまなものが値上がりするでしょう。代表的なものとしては、小麦、大豆、トウモロコシ。それらを原料とする商品はもちろん、家畜のえさとしても使われているため、肉や乳製品にも価格高騰の波は襲ってくる。食料自給率がほぼ100%の米以外は、ほとんどが値上がりするといってもいいでしょう」(永濱さん)

 影響はすでに出始めている。総務省統計局によれば、今年8月の『消費者物価指数』は前年同月比で3.3%上昇し、そのうち円安による上昇率は1%。同じく今年8月の総務省『家計調査』によると、全国の2人以上の世帯の1世帯あたりの平均消費支出は28万2124円。今後同じペースで円安が進み、1年後に同じだけモノ、サービスを手に入れようとしたら、円安による要因だけで毎月2821円もの負担増となる。

 これは決して机上の空論ではない。前出・永濱さんは、今後も値上げされる商品は拡大すると予測する。

「多くの企業は半期ごとに価格の改定をします。つまり、現在の値上がりは今年春頃の円安の影響を受けたもの。そこからさらに円安が進んだ現在の影響は来年4月頃に出てくると考えられます。対象商品も拡大し、値上げ幅も拡大する可能性がある。収入が増える家計もあるが、そうではない家計は消費税増税と合わせてダブルで負担がかかってしまいます」(永濱さん)

※女性セブン2014年11月13日号

関連記事

トピックス

趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン