投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、12月15日~12月19日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、14日の衆議院選挙、16-17日の連邦公開市場委員会(FOMC)声明、17日のギリシャ議会での大統領選出、などを見極める展開となる。衆議院選挙での与党圧勝の可能性、年末に向けた米国企業の利益送金によるドル買い、原油価格の下落基調を受けたドル全面高などで、ドルは下げ渋る展開が予想されるものの、クリスマスに向けた海外勢の円売り持ちポジションの手仕舞い(円買い・ドル売り)によってドルの上値は限定的か。
リスク要因は、ギリシャでの解散・総選挙の可能性、イスラム国を空爆している有志連合国でのテロの可能性、地政学的リスク(ウクライナ情勢、中東情勢)の緊迫化などが想定される。ただし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額(23%⇒40%)から、ドルの下値は限定的だと予想される。
【衆議院選挙(475議席)】
衆議院選挙では、与党圧勝が予想されていることで、「噂で仕掛けて、事実で手仕舞え」の相場格言通りに、円売り持ちポジションの手仕舞いの可能性に警戒することになる。
与党が参議院で否決された法案を再可決出来る317議席、あるいは絶対安定多数の266議席以上を確保した場合、アベノミクスが信認されたことで、安倍トレード(日本株買い・円売り)が継続することが予想される。265議席を割込んでも、過半数の238議席を確保した場合は、安倍トレードが継続することが予想される。
なお、可能性は極めて低いが、過半数を割込んだ場合、安倍首相は退陣となり、安倍トレードが失速することになる。
【ギリシャ議会での大統領選挙(300議席)】(17日)
サマラス・ギリシャ首相が推すディマス前欧州委員が次期大統領に選出されるためには、180票以上が必要となる。連立与党の議席は155議席、野党は121議席、無所属は24議席となっており、解散・総選挙になれば、反緊縮財政を主張する急進左派連合(SYRIZA)が勝利する可能性が高いことで、ギリシャ金融危機の再燃が警戒されている。
【連邦公開市場委員会(FOMC)声明】(17日)
16-17日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、異例な低金利の継続期間「相当な期間」が削除されるか否かに注目することになる。「相当な期間」の削除は、重要な金融政策の変更となることで、イエレンFRB議長による記者会見での説明が求められるが、FOMC後の記者会見は、12月の次は3月となっており、今回のFOMCでの削減の可能性が高まっている。
【原油価格と円相場】
原油価格の下落は、日本の景気回復を支援すること、ディスインフレ懸念から日本銀行への追加緩和圧力が強まることで、安倍トレードにとってはプラスだが、東京株式市場からオイルマネーが引き揚げられる可能性、貿易赤字縮小の可能性からはマイナス要因となる。
12月15日-19日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。