アドレナリンとは、体の機能を調整するホルモンの一種で、血糖量を調整する、心臓の働きを強めて血圧を上る、気管を広げるなどの作用があるという。
「運動するとアドレナリンが分泌され、アドレナリン受容体に作用して、『脂肪を燃焼させろ』という信号を送ります。キノコキトサンも同じように信号を出すため、運動したのと同じような状態になると考えています」(渡邉教授)
渡邉教授らの研究チームは、この研究成果を論文にして2009年に発表。現在は、キノコキトサンのさらなる健康効果やメカニズムについて、研究を進めているという。そしてこのキノコキトサンを手軽に摂取するために、渡邉教授が考案したのが、手作りのえのき茶。
「えのき茸の繊維は非常に固く、よく噛んで食べたとしてもキノコキトサンを摂取するのはなかなか難しいのです。そこで、石突きを除いたえのき茸をバラバラにほぐしてから天日干しにし、細かく刻むという方法を考えました」(渡邉教授)
干して刻んだえのき茸5gを保温水筒などに入れ、95℃程度の熱湯を300~500ml注いで、30分以上おけば、えのき茶の完成。電子レンジにかけるとキノコキトサンが壊れてしまうため、えのき茸を乾燥させたり、お茶を温め直したりするときは、電子レンジの使用は避けた方がいいという。また、“自分で作るのは、ちょっと面倒”という人向けに、昨今は乾燥させたえのき茸を凍らせたエノキ氷や、キノコキトサンを含む粉末なども市販されている。こうした商品を製造・販売する企業の中には、特定保健用食品の申請のほか、機能性表示食品としての届け出準備を進める動きもあるようだ。
「キノコキトサンが効果を発揮するのは、摂取して30分~1時間後。数回に分けて飲めば、内臓脂肪を刺激する回数が増えるので、さらに効果が期待できます。水筒に残ったえのき茸にも食物繊維などは豊富に含まれているため、そのまま食べても、みそ汁やカレーなどに入れても良いでしょう」(渡邉教授)