火山活動が活発になり、立ち入りが禁止されている区域もある箱根。閑散としているかと思えば、規制区域周辺には人だかりができていた。
「ジェット機みたいなすごい音!」
「テレビで話題なので来ちゃいました」
そう話す人たちの目線の先には山あいから蒸気が立ち上る。箱根山の噴火警戒レベルが6日に引き上げられて以降、噴出する蒸気を一目見ようという観光客が後を絶たない。
大涌谷へと続く県道734号。通行止め箇所から2キロ手前の地点では、蒸気が良く見えるとあって次々と車がやってくる。狭い道に駐車する車に後続車がクラクションを鳴らしても、野次馬たちはスマホでの記念撮影に興じる。
その楽しげな様子は、昨年57人が亡くなった御嶽山噴火の悲劇が教訓になるどころか、早くも忘れられたかのようだ。安易な好奇心は、はた迷惑であることはもちろん、極めて危険である。
■撮影/渡辺利博
※週刊ポスト2015年5月29日号