待機者50万人以上という厳しい現実のある特別養護老人ホームだが、どんな取り組みを行っているのだろうか。宮城県仙台市にある介護老人福祉施設「田子のまち」の例を紹介しよう。
入居者の生活リズムや個性を尊重する新しい介護スタイル「ユニットケア」は、“まるで家に住んでいるよう”な気持ちにしてくれる。施設長の丸田礼子さん(以下、「」内同)が言う。
「老人ホームに来る理由はひとつ、“家で暮らせなくなったから”だと思います。本当は家にいたいけど、なんらかの事情で、ここを新しい家として選択された。ですから、ここはそれまでの生活をできるだけ継続して、自分が自分らしくいられる場所でないといけないと考えました。
全室個室で、10人を1つの家族(ユニット)として生活していただきます。ユニットごとにお風呂や洗濯機など共用スペースがあり、それぞれの個室にはトイレ、洗面台、ベッドが完備されていますが、自宅で使用していた家具や趣味のものを持ってきて、自分の部屋として使ってもらうことが可能です。食事やお風呂の時間は決まっておらず、好きな時にご飯を食べ、入浴できます」
希望すれば個室で食事をとることもできるなど、生活スタイルはかなり自由だ。また、地域とのかかわりも大切にしている。
「ここは地域の中の1つの“家”なので、地域の人がどんどん入ってこられるような施設にしようと、地域の人も自由に使えるレストランを施設内に作りました。今後は施設内で地域のかたの敬老会を開いたり、スペースを開放することも考えています」
※女性セブン2015年11月17日号