米ミネソタ州にある研究チームが1万5000人あまりのデータを調べた結果、ビール腹体形の男性は、単なる肥満や太りすぎの男性に比べて、死亡リスクが2倍になることが判明。女性の死亡リスクも1.5倍の高さだったという。
生活習慣病予防に詳しい横浜市立大学医学部社会予防医学教室の杤久保修特任教授はこう説明する。
「今回の発表では“ビール腹”となっていますが、つまりは内臓脂肪型肥満の人ということです。
一般的に女性は皮下脂肪が多く、男性は内臓脂肪がたまりやすいといわれています。これには女性ホルモン、男性ホルモンのバランスが関係しています。そのため女性でも40才以降、女性ホルモンが少なくなってきたり、閉経後は、内臓脂肪型肥満になりやすくなります」
内臓脂肪型肥満になりやすい人の特徴を挙げると、以下のとおり。
●夕食をたくさん食べる
●朝食を食べない
●体をあまり動かさない
●アルコールを飲む(日本酒を1日1合以上飲む)
●たばこを吸う
●精神ストレスが多い
●睡眠が少ない(質が大事だが4時間未満は注意)
内臓脂肪型肥満は、生活習慣病を引き起こす。特に高血圧、脂質異常症、糖尿病などのリスクが高くなり、脳卒中(脳梗塞や脳出血)、心臓病(心筋梗塞や狭心症)にもつながる。
「また当然体が重いので、膝や腰に負担がかかり、関節症になりやすい。これは女性に多く、特に50代以上の女性で、内臓脂肪がたまっている人は要注意です」(杤久保教授)
内臓脂肪は、顎の下の脂肪と比例していて、内臓脂肪がたまりやすい人は顎の下の脂肪もたまりやすい。杤久保教授は、これが睡眠障害を引き起こし、うつにつながる可能性もあると指摘する。
「顎の下の脂肪が過剰にたまると、寝ているときに無呼吸症候群になったり、睡眠の質が悪くなる。そうなると、昼間の活動が鈍くなり、うつになりやすくなってしまうんです」(杤久保教授)
これまで、肥満をコントロールするため、身長と体重から算出するボディーマス指数(BMI)の数値が着目されていた。しかし今回の調査では、このBMIの数値でたとえ「健康」と判定されても、下腹に脂肪がつきすぎている場合は注意を要することも明らかになっている。
※女性セブン2015年12月10日号