田舎の墓に入っている遺骨を都心の納骨堂や永代供養墓に移したい──そうした「改葬」にあたっては注意点がある。終活コンサルタントの吉川美津子氏はいう。
「よく問題になるのが『親戚間の意見の相違』です。先祖代々の墓であれば、多くの縁者が関係してきます。法的には墓の継承者が強引に手続きを進めることもできますが、後々のトラブルにつながりかねません。
『遺骨の行き先』についても、永代供養でいいという意見もあれば、アクセスのよいところに新しく墓を建てるべきだという意見もあるでしょう。それをクリアにした上で、手続きに入ります」
書類上の手続きとしては以下の通りだ(※吉川氏の解説をもとに作成)。
(1)新しい墓地の契約
契約した際に「受入証明書(永代使用許可書)」を発行してもらう。
(2)「改葬許可申請書」を受け取る
現在の墓地がある市町村の役所で受け取る。改葬する遺骨の氏名、死亡年月日、本籍などをわかる範囲で記入。
(3)「埋蔵証明」の発行
現在の墓地の管理者(寺院など)に発行してもらう。改葬許可申請書に管理者の捺印が必要なケースもある。
(4)役所への申請
現在の墓地がある市町村の役所へ「受入証明書」「改葬許可申請書」「埋蔵証明」を揃えて提出。「改葬許可証」の発行を受ける。
(5)遺骨の取り出し
合わせて現在の墓地の解体・撤去を進める。
(6)新規墓地への納骨
この際に「改葬許可証」が必要となる。
※週刊ポスト2015年12月25日号