――好きなことだけするのが仕事なんて、うらやましい…。

 どんな経験でも生かされるのがこの仕事です。仕事で悪い結果を出そうなんて誰だって思わないでしょう? でも、時には周りが見えなくなって突っ走ったり、迷路に入り込んだりする。それは監督もスタッフも同じ。ですから、プロデューサーの私が時には背中を押し、時にはそっとしておき、時に発破をかける。何といっても調整役ですから。

――“機を見て人を動かす”わけですね。

 そして3つ目は“謙虚さ”。日々、何百という選択や決断を迫られるのがプロデューサーです。迷った時は、ひとりよがりにならず、スタッフの意見を聞いて決断をします。もちろん、それでもミスを犯すことはあります。その時は素直に非を認めて、謙虚に軌道修正します。

 できないこと、無理なこと、わからないことはプライドを捨てて、助けを請うことも大切だと思っています。

――これほどの大物になっても、他人の意見に耳を傾けられるなんて! 日本の会社じゃ、上司が黒と言えば、白いものも黒というのに。でも、その柔軟さが創作の源なんでしょうね。

 周りにもそんな人は多いですよ。例えば、この作品のピーター・ソーン監督がいい例です。彼は長編アニメの監督が今回初めてでしたが、自分のわからないことはベテランのスタッフに謙虚に聞いていましたからね。

 そして最後に最も大切なことは、正直であることです。人って、例えば「この人は調子がいいけど、本心じゃないな」とか、感じ取りますよね(笑い)。だから私は、いつも本音で勝負しています。

――なるほど。人として大事なことばかりですね。

取材・文■由井りょう子

撮影■矢口和也

※女性セブン2016年3月10日号

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