最終的にはウェンディーズ主導の厨房設備やオペレーションに合わせながら、ファーストキッチンのメニューも絞り込んで効率化していくしかなさそうだが、方向性を間違えると命取りになる、と白根氏は指摘する。
「いま、国内ではバーガーキングやシェイクシャック、カールスジュニアなど外資系チェーンによる高額の“グルメバーガー”人気です。ウェンディーズも単品600円を超えるバーガー類を揃えているため、同じ部類に入ります。
とはいえ、すべて米国流にしてしまうと、日本人に合わない肉の大きさやトッピング、ソーズの味付けになって集客力が落ちることも考えられます。そこで、主力メニューでも常に改良を繰り返してきたファーストキッチンのマーケティング力や商品開発力を活用できなければ、“共倒れ”になる恐れもあります」
折しも、業界トップのマクドナルドが店舗の大量閉鎖や業績の足踏み状態を強いられている中、ハンバーガーチェーンの勢力図は混沌としてきた。
しかし、他チェーンにとってこれがシェア拡大の好機となるかは、まだ分からない。マックの業績不振とともにハンバーガー業界の市場規模も伸びていないからだ。市場調査会社、富士経済の調べでも2011年の6973億円以降、ずっと前年割れが続いている。
「バーガーチェーンは同業他社との戦いに加え、淹れたてコーヒーやホットスナック(揚げ物惣菜)の品質アップ、そして店内飲食のスタイルを増やして売り上げを伸ばすコンビニエンスストアも手強いライバルとなりつつあります。
今後は消費者ニーズに合わせ、付加価値の高い商品開発やきめ細かなメニュー、サービスを提供できるチェーンしか生き残れないでしょう」(白根氏)
さて、40年の歴史を経て、外資系バーガー傘下で新たなスタートを切るファーストキッチン。果たして日本市場で存在感を維持し続けることができるだろうか。