異常気象の影響で、今年の夏も猛暑が続く可能性が高い。熱中症予防の重要性も増す中、ここ数年、売れ行きが絶好調なのが「麦茶」だ。最近では冷たい麦茶を使って作るお茶漬けのもと(永谷園の『冷やし麦茶づけ』)まで発売された。
五大栄養素のひとつであるミネラル入りの麦茶には、体内にこもった熱を体外に放出させる作用や、熱中症対策に有効とされる血流改善効果も報告されている。
巷には素早く水分補給ができるスポーツドリンクやミネラルウォーターなどの飲料も数多く売られているが、麦茶人気はやはり根強い。
総合マーケティング支援を行なうネオマーケティングが20~69歳の男女1000人に聞いた調査(5月30日発表)でも、「夏の飲み物でイメージするものは?」の質問に対し、じつに90.8%の人が麦茶と回答した。さらに、夏場に常備する飲み物として麦茶を挙げた人も74.2%と圧倒的だった。
ペット(PET)ボトル入りで大容量の麦茶が低価格で購入できるとあって、ティーバッグから煮出して常備する家庭は昔に比べて減ったが、その代わりにPET麦茶の出荷量は今でも伸び続けているというから驚きだ。
飲料総研によると、PET麦茶のナンバーワンブランドは、伊藤園の『健康ミネラル麦茶』。その歴史は2002年に前身の『天然ミネラル麦茶』を発売したことに始まるが、2009年に1030万ケース(1ケース=約500ml×24本換算)だった出荷量は年々二ケタ増を続け、2015年は2740万ケースにまで増えた。
「麦茶ブランド全体の出荷量は約4800万ケースほどなので、伊藤園は約57%のシェアを握っていることになります。
しかも、健康ミネラル麦茶は昨年、日本コカ・コーラの『爽健美茶』(2720万ケース)やサントリー食品インターナショナルの『烏龍茶』といった他の茶系メガブランドをついに抜き去りました」(飲料総研の宮下和浩取締役)
ちなみに、2位の『GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶』(サントリー)、3位の『六条麦茶』(アサヒ飲料)も2015年の出荷量は前年より大幅に伸びているが、その数量はそれぞれ890万ケース、540万ケースだったことを見れば、いかに伊藤園の麦茶が強いかが分かるだろう。