この2年間で、国内の売上高上位100薬品(2014年度決算・日刊薬業調べ)のうち、16種類の薬で新たな副作用が報告されている。厚労省が医薬品添付書の「改訂指示」を出した薬品の中から、一般になじみのある「有名薬」を紹介する。なお、副作用については、医師や薬剤師からはそれほど紹介されない傾向もあり、厚生労働省の発表をHPなどで注意深く見ておく必要がある。
コレステロールを低下させる薬で494億円を売り上げる「クレストール」は薬効が高いとされる半面、これまでに横紋筋融解症、腎不全などの副作用が指摘されてきたが、新たに2つの副作用が追加された。医薬情報研究所の取締役で薬剤師の堀美智子氏が解説する。
「手足の皮膚に赤い発疹のできる『多形紅斑』と手足に痺れや感覚の低下が出る『末梢神経障害』です。クレストールを服用していて発疹や痺れが出たら医師に相談すること。
ただし、コレステロールが高い人は糖尿病を患っていることも多く、糖尿病の悪化による神経障害というケースもある。勝手に判断して服用を停止したりせず、医療機関を訪れてほしい」
直近の改訂指示では、今年5月31日に骨粗鬆症の薬「ボノテオ」の副作用が新たに追加された。
「この薬の主な副作用は食道炎や食道潰瘍で、ごく稀に『顎骨壊死』というアゴの骨が壊死する副作用もありました。今回、耳の穴に接する外耳道の骨が壊死する例が海外で報告されたとして、『外耳道骨壊死』が追加された」(同前)
同日、抗てんかん治療薬の「イーケプラ」に「急性腎不全」が追加された。
花粉症を抑える「キプレス」は、糖尿病薬のグラクティブなどと同じく、出血やアザなどの副作用がある。
経口薬ばかりではない。ドライアイを治す目薬「ムコスタ」にはこのような報告があった。
「ドライアイは角膜を保護する『ムチン層』の働きが弱いので、ムコスタでこの層を増やします。この時、涙が出る場所に閉塞が発生すると、涙の排出がうまくいかずに、むしろポロポロとこぼれ落ちて止まらなくなる」(同前)
医師や薬剤師が処方薬の副作用について、患者に丁寧に説明するのが本来のあり方だ。
※週刊ポスト2016年6月24日号