日本麻酔科学会が発行している『麻酔のしおり』(2015年版)に掲載されている死亡率のデータを見ると、手術する疾患以外の全身疾患を有しない人に比べて、高血圧や貧血などの軽度の全身疾患を抱えている人や、糖尿病や人工透析を必要とする人などでは死亡率が高くなることがわかる。また緊急手術だとやはり死亡率が上がる傾向が読み取れる。

 医療行為である以上、麻酔のリスクもゼロではない。ただ、そのリスクが人によって大きく異なることも認識しておくべきだ。

「リスクがある以上、麻酔をしないに越したことはありません。それでも長時間の手術、腹腔鏡・胸腔鏡手術では全身麻酔が必須となります。大切なのは麻酔科医の術前診察時にこれまでにかかった病気や飲んでいる薬、生活習慣などをきちんと申告することです。

 全身麻酔のリスクは、健康状態を悪化させる生活習慣とも密接に関わっています。具体的には喫煙の期間と量、アルコールの摂取量、運動習慣などが影響します。特にタバコについては、術前に8週間禁煙をすれば、術後の肺合併症(肺炎など)が少なくなるエビデンスもあります」(前出・讃岐医師)

 リスクがたしかに存在する以上、「安全だ」という話しかしない専門家の言葉を信用するわけにはいかないが、“全身麻酔はとにかく危険”という大掴みな認識になってしまうことも、自らの体を守ることにはつながらない。

※週刊ポスト2017年1月1・6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
三浦瑠麗(本人のインスタグラムより)
《清志被告と離婚》三浦瑠麗氏、夫が抱いていた「複雑な感情」なぜこのタイミングでの“夫婦卒業”なのか 
NEWSポストセブン
ドラマ『Believe -君にかける橋-』で木村の妻役で初共演
初共演・天海祐希もハイテンションに! “木村拓哉の相手役”が「背負うもの」と「格別な体験」
女性セブン
オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン