国や都道府県、市区町村の境界には「目には見えない線」が引かれている。その由来は様々だ。地形が理由のこともあれば、人間の勝手な都合で引かれたものもある。そんな境界を巡るドラマを追いかける謎の団体「境界協会」には、彼らの間だけで通用する「境界用語」があるという。
【境界キスマーク】
自治体などが隣接する土地との境界点を示すために打つのが「境界杭」だ。境界協会では、写真のように矢印がぴたりと同じ点を指している状態を「境界キスマーク」と命名。
「探しながら街歩きをするとわかりますが、ほとんどの場合は片方の所有者の杭しかなく、境界キスマークはかなり珍しい。私たちのフィールドワークでも、見つかれば大盛り上がりです」(『境界協会』の小林政能・会長)
【境界標識地】
番地を表示する看板が隣り合って並ぶ状態は「境界標敷地」と命名され、レア度はさらに高くなる。「道路がそのまま境界になっている場所では出現しないので、事前に地図をよく見て探し、遭遇する頻度を上げようとしている」(小林会長) という。
【トリプルジャンクション】
3つの自治体の境界が1点で接している場所。両手、右足、左足でそれぞれ違う自治体に触るなどして遊ぶ。
【境界密集地】
境界協会の調べでは、4つ以上の自治体の境界が1点で接するケースはまだ見つかっていないという。ただし、複数の「トリプルジャンクション」が近接して存在する場合はある。500m以内にトリプルジャンクションが複数存在するところを「境界密集地」と呼んでいるという。
※週刊ポスト2017年3月17日号