ハリルホジッチ氏の高い要求に選手が応えられず、そこにギャップが生じたと話す。成果が出ず、「チームとしてバランスよく機能していたか、そのへんにわずかに差があった」と親指と人さし指をちょっとだけ開いて見せ、そのギャップがわずかであったことを強調した。だが同時に、一瞬、右目の周りにだけ力が入り、目をつぶりそうでつぶらなかったのだ。わずかなギャップが、実はチームの命取りになると感じていたのだろう。西野氏自身も、そこに目をつぶることができなかったのではないだろうか。
「日本化した日本のフットボールがある」と言った言葉の裏にあるのは、前監督のサッカーは、日本代表チームには合わないという思いかもしれない。「もっと自分のプレーを素直に代表チームで…」と話す西野氏が見ていたのは、高い要求の前で、素直にのびのびと自分のプレーができず、良いパフォーマンスを出せない選手たちの姿だ。選手たちは「自クラブでプレーしている以上のものが当然出るはず」と、一言一言に力を込めて語ったのは、選手たちの能力を信じ、評価しているからだ。
代表選手の選考については、「過去の経験や実績もあるが…」と座り直すように身体を大きく左右に揺らし、「現状のコンディション」も見極めた上でと話す。その仕草からは経験や実績よりも、現状のコンディションの方を優先させて考えたいという思いがあるように見える。それによって「いいパフォーマンスが出る」と、コクリと頷いたことからも、何よりコンディションを重視したい意向が感じられた。
世界を見ても、ワールドカップを目前に代表監督が交代したチームは結果を残せていないというが、「日本のフットボール」を目標に構築されたチームが、そんなジンクスを吹っ飛ばしてくれるのを願う。