国内

校則全廃の公立中、名門高校に続々進学 校長の思い

世田谷区立桜丘中学校の西郷孝彦校長(撮影/浅野剛)

「チャイムも鳴らなければ、服装は自由で校則もありません」(3年生・女子生徒)

「英語で巻き寿司の作り方を教わったのは初めて。なんとかうまく作れました」(2年生・女子生徒)

「理科の実験で、3Dプリンターで心臓を作った。そうしたら、人間くらい大きな体を動かすには、2心房必要だってわかった。すごくないですか!?」(2年生・男子生徒)

「ハロウィンは先生も生徒も仮装して来るし、バレンタインチョコだって持ってきて叱られるなんてことはありません」(2年生・女子生徒)

「前の学校では、登下校中にしゃべっちゃいけなかったんです。とっても息苦しかったけれど、ここは自由。生き返った心地です」(1年生・男子生徒)

──まるで大学か、はたまた最先端をゆく私立高校の話かと思いきや、ここは中学校。しかも東京都世田谷区の区立桜丘中学校、つまり公立中だ。

「中学受験する子どもの多い世田谷区は、“当然私立の方が優秀だ”という風潮が強いので、“そんなことはないぞ”という気持ちでやってきました。私立に対して競争心があるんですよ」

 普通なら格好つけて取材では話さないようなことを、ニコニコと語るのは、同校の西郷孝彦校長(64才)。

 校長室の扉はいつも開けっ放しで、次から次へと生徒が顔を見せる。「スマホを充電させて」とやってくる生徒もいる。なんだかんだと理由をつけながら、その場で相談事をしたり、愚痴を聞いてもらったりしているようだ。

 歴代の校長が「一日でも早く異動したい」と嘆息するほど荒れた同校で、2010年に校長に就任すると、足かけ9年を費やして、自由にして多様な学校をつくり上げた。

「着任した当初は、朝礼の時も、“並べ!”“黙れ!”“遅れるな!”と、先生が声を張り上げる始末。力で押さえつける指導が目立ちました」(西郷校長・以下同)

 しかし現在は「どうしてもこの学校で、わが子を学ばせたい」と、わざわざ学区外から越境したり、転居までして入学する生徒も少なくない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン