さらに、こんなケースもある。小学3年生の息子を持つ熊田沙也加さん(仮名・41才)が話す。
「自粛期間中の授業について、同じクラスのママ友から質問されたんです。私は丁寧にしっかり説明したんですけど、返事はキャラクターのスタンプで『OK!』の一言。聞くだけ聞いて返事はスタンプって、そのママのお決まりなんです。真面目に答えるのがバカバカしく思えて、だんだん距離を置くようになりました」
石原さんは、リモートワークの浸透とともに、ビジネスのやり取りでもスタンプの多用が目につくようになったと指摘する。さらに、「(笑い)」と同じ意味を持つ、文末の「w」についても難色を示す。最近は若者だけでなく、大人の間でも珍しくない。
「最初の頃は、意図が伝わりにくい短い文章に『w』をつけることで、『真面目に言っているわけじゃないんですよ』というジョーク交じりのニュアンスを含ませる記号として使われていました。
しかし最近は、まったく無関係なやり取りの中でも多用されるようになった。たとえば、こちらの意見に対して、『いや、こうじゃないですか?www』なんてつけられると、まるで上から目線で、勝手に優位に立たれているような不愉快さを覚えます。狙いは三点リーダーと同じで、自分の意見は曖昧にしておいて、安全圏にいようとする魂胆なのでしょう」(石原さん)
和田さんは、顔が見えないやり取りだからこそ、LINEやメールを「短文」と捉えず、むしろ「手紙」と同様に捉えて書くことをすすめる。
「相手に判断をゆだねて、こちらの意思を表明しないことは甘えです。だからといって、命令するような文章はハードルもリスクも高い。手紙を書くように丁寧に言葉を尽くせば、相手が誤解したり不快に感じることを避けて、きちんと意図を伝えられるはずです」(和田さん)
短文で済ませようとする横着が亀裂を生むのかもしれない。うまくできるといいのだが…。
※女性セブン2021年1月28日号