エキストラを一人ずつ見送る女優
欅坂46のライブレポートやコラムを多数手がけ、平手の活動も応援しているというライターのKikka氏は、「『平手友梨奈さんはどういう人か』と聞かれたとき、私は『気遣いと礼儀の人です』と答えています」と語る。
「例えばある映画の撮影現場でのひとこま。エキストラが退場するタイミングで平手さんが出口に走って行ったかと思うと、エキストラ一人一人に『今日はありがとうございました』と丁寧に頭を下げて見送っていました。誰かに促されるでもなく、自然にそのようなことをしている役者さんを見たのはこの時が初めてだったので、大変驚いたのと同時に、平手さんと関わったクリエイターたちが口々に『また一緒にお仕事をしたい』と語り、それを実現させているのはこうした背景があるからなのではないかと感じました」(Kikka氏)
また、Kikka氏は、平手の表現の根底にあるのは、「共感力」だと推察する。
「人を惹きつける独特な雰囲気や爆発的なパフォーマンスを生む出す背景には、圧倒的な『共感力』があるのではないかと私は感じています。平手さん自身は多くを語りませんが、新たな作品に取り組むとき、彼女は本質について徹底的に話し合ったり、検討したりする機会を設けることで自分の役割についての理解を深め、彼女なりに作品を咀嚼していく工程を大切にしているようです。こうした手法はグループ活動を通じて培われたものであり、それがソロアーティスト活動においても継承され、平手友梨奈というアーティストの人格を形成しているのでしょう。
そんな彼女の表現には老若男女、国境を問わず多くのファンが魅了されており、彼女のニックネーム『てち』を示す、ローマ字表記の『Techi』が世界的にも浸透しているほどです。今後も平手さん自身が納得できる、共感できる作品を楽しんでクリエイトしていくことこそがファンが一番望むことなのではないかと思います」(Kikka氏)
平手本人は、数々のインタビューで自身の性格を「イタズラ好き」だと語っている。どうやら「孤高のカリスマ」というのは、彼女が持つ表情のひとつに過ぎないらしい。気さくさ、礼儀正しさ、そして、優しさ……。そんな素顔が世間に伝わったとき、平手を支持する人々の数はまた一気に増えそうだ。
◆取材・文/原田イチボ(HEW)