阪神ドラフト1位・佐藤輝明(21)の活躍に虎党は早くもお祭り騒ぎだ。快音を轟かす新星が連日スポーツ紙の一面を飾っているなか、阪神野手陣の最大の関心事は“スーパードラ1”がどこを守るかだ。
当初は、佐藤が「尊敬している」と公言した近大の大先輩・糸井嘉男(39)とライトの定位置を争うと見られていた。
「しかし、4番の大山悠輔(26)が紅白戦で背中に痛みを感じて別メニューで調整することになり、佐藤は大学時代の本職だったサードでの起用が増えている。このまま佐藤をサードで使って、大山をファーストに回す可能性も出てきた。佐藤は外野手用グラブの他に内野手用グラブとファーストミットをキャンプに持ち込んでいた。『糸井さんがいるので外野を守れない可能性があるから』と表向きは言っていたが、本音はサードを守りたいのでしょう。糸井もホッとしているのでは」(阪神番記者)
育成方針も注目されている。阪神には新人に口を出して芽を摘んできた“黒歴史”があるからだ。
「2015年ドラフト1位の高山俊(27)は1年目に新人王を獲得したが、金本知憲前監督と片岡篤史前打撃コーチが長打重視の打撃改造をしたことで伸び悩んだ。重度の制球難に苦しんだ藤浪晋太郎(26)も度重なるフォーム改造で自分を見失ってしまった。同じ失敗を繰り返すわけにはいかないでしょう。
佐藤の“教育係”は井上一樹ヘッドコーチ。さっそく軸足を安定させて体が開かないスイングを心がけるよう“微調整”していた。その結果、逆方向に強い球が打てるようになり、佐藤も信頼しているようです。ただ、井上ヘッドは『これから一流どころが出てくれば簡単に打てない』と考えており、開幕までにまだ一山、二山ありそうです」(別の阪神担当記者)
期待の逸材は、和製大砲へと成長できるか。
※週刊ポスト2021年3月12日号