狭小マンションの売れ行きは鈍化
逆に、売れなくなった住宅のカテゴリーも明解に浮かび上がってきた。
まず、都心で供給される40平方メートル未満の狭小型マンション。特に30平方メートルを切るようなタイプは売れ行きが急速に鈍った。コロナ後に計画された新築マンションでは、ほとんど設定されなくなったほどだ。
郊外型のファミリーマンションも売れ行きがすこぶる鈍い。これは首都圏はもちろん、関西圏でも顕著にみられる傾向である。コロナによって収入を減らした中堅所得層が、購入を躊躇っていることが主因かと思われる。
また子育て世代にとって、従来型の3LDKよりも「プラス一部屋」という需要が主流へと変わりつつある。最近、中古マンションの4LDKに多くの引き合いが来るようになったのも、そういったトレンドを反映している。
トレンドは「広さと部屋数」「戸建て志向」
現状、テレワークが事務系サラリーマンの働き方の主流になっているとは思えない。全体から見れば、せいぜい2割から3割前後の普及ではなかろうか。しかし、確実に定着している。そして、コロナ後も継続しそうである。
なぜなら、テレワークが従来の出勤スタイルと同様かそれ以上の結果を出せるのなら、それは経営側にとっても働き手側にとってもメリットが大きいからだ。
テレワークを行う場合、住まいの主な役割は「寝に帰る」場所ではなく、「仕事場」となる。コロナが終わっても、サラリーマンの何割かがテレワークを続けるだろう。そして、彼らが「仕事場としての」住まい需要をしっかりと根付かせる。そのトレンドを挙げるならば「広さと部屋数」、そして「戸建て志向」であろうか。
ただし、これによって郊外の戸建て住宅の価格が極端に上昇するようなことはないだろう。なぜなら、都心から郊外へと流れる住宅需要は全体の一部であり、そこには多くの物件を供給できるほどの十分な広さがあるからだ。