ライフ

東京国立博物館・東洋館 壇蜜「セクメト女神像」の存在感に圧倒される

『セクメト女神像』エジプト、テーベ出土。新王国時代(第18王朝 アメンヘテプ3世治世)・前1388~前1350年頃 東京国立博物館蔵

『セクメト女神像』エジプト、テーベ出土。新王国時代(第18王朝 アメンヘテプ3世治世)・前1388~前1350年頃 東京国立博物館蔵

 日本美術応援団団長である美術史家・明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は東京都・台東区の東京国立博物館 東洋館。2人が古代エジプトのミイラなどを見て回る。

壇蜜:『パシェリエンプタハのミイラ』は棺を見ると端正で若々しいお顔ですね。

山下:古代エジプトのミイラには社会的地位が記されているものですがこのミイラには名前と「アンクムウトの息子」としかなく社会に出る前の10代の若者と思われていました。ところが近年にCT画像で骨を鑑定したところ、30代以上の男性と判明。当時の平均寿命ではかなり高齢です。

壇蜜:裕福な家柄で無職ながらミイラにしてもらえたのですね。なぜ日本へ渡ってきたのでしょうか。

山下:東京国立博物館の前身・東京帝室博物館へエジプト考古庁より寄贈されたものです。東洋館にはエジプト以外にも中国・朝鮮半島・東南アジア・西域・インドなどの美術、工芸、考古遺物が展示されています。

壇蜜:エジプトなどの古代美術と考古資料を紹介する展示室では大きな『セクメト女神像』も存在感があります。

山下:セクメトは雌ライオンの頭を持ち、人々に癒しをもたらす女神。アメンヘテプ3世は晩年に病気がちで、病気を癒す神様を国内外から幅広く集めました。

壇蜜:今でいうアマビエですね。薬ではなく神様を取り寄せる感性が衝撃です。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)。

●東京国立博物館 東洋館
【開館時間】9時半~17時(最終入館は閉館30分前まで)※入館はオンラインによる事前予約(日時指定券)制
【休館日】月曜(祝日の場合ならびに2022年1月3日は開館し、翌平日が休館)、年末年始、その他臨時休館あり
【入館料】一般1000円
【住所】東京都台東区上野公園13-9 ※開館情報はHPにて要確認

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年6月4日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

立ち上げから7周年を迎える「新しい地図」
もうすぐ8年目、広がり続ける「新しい地図」のエンターテインメント 音楽、舞台、映画、テレビ、CM、おせちのプロデュース…果敢なチャレンジの数々
女性セブン
7月28日、DeNA戦に7安打無四球で3年ぶりの完封。9回に続投を志願して現役最多の22度目の完封勝利を飾り、菅野はマウンドでガッツポーズ
最多勝目前の巨人・菅野智之、完全復活の秘密 西本聖氏は「新たな菅野が誕生した」と絶賛、同級生・小林誠司とのコンビ復活も安心感に
週刊ポスト
セクシー女優と不倫した人気配信者・加藤純一
《目撃証言》「白いワンピースの女性と5つ星ホテルに……」セクシー女優と不倫の人気配信者・加藤純一(39)が謝罪配信で認めた「ハワイ旅行」現地でファンが目にした光景
NEWSポストセブン
20日早朝、新宿・歌舞伎町内のホテルから飛び降り亡くなったAさんとB子さん(本人SNSより)
【歌舞伎町ホテル転落死】「また同じ場所で若い男女が…」AさんとB子さんが出入りしていたトー横界隈、特殊詐欺事件に加担した過去
NEWSポストセブン
物件探しデートを楽しむ宮司アナと常田氏
《そろそろ入籍では?》フジ宮司愛海アナ 恋人のバイオリスト・常田俊太郎氏と“愛の巣探し”デート
NEWSポストセブン
復帰作にあたる舞台が公演中止になった前山剛久(インスタグラムより)
《神田沙也加さんの元恋人》前山剛久の復帰舞台、会場側は“上演中止”発表に驚き「聞いていません」
NEWSポストセブン
写真を見せると「出会いが多いから…」と話した眞鍋氏
《破局後に即ブロック》バレー女子日本代表監督・眞鍋政義氏、不倫相手に「チームの内部情報」を漏洩か「あいつはあれと付き合ってんねん」 本人は不倫を否定
NEWSポストセブン
ヤマハ発動機の現社長の日高祥博氏(時事通信フォト)
〈ヤマハ発動機社長を娘が切りつけ〉関係者が明かした日高社長の素顔「バイク野郎で大企業の社長っぽくない。家をあけることが多かったのかな」 海外通エリート社長は足下の家庭で……
NEWSポストセブン
バレーボール女子日本代表監督の眞鍋政義氏が“火の鳥不倫”か(時事通信)
《合宿先で密会不倫》バレー女子日本代表・監督つとめた眞鍋政義氏が女性トラブル、コート外で見せていた別の顔
NEWSポストセブン
殺人と覚醒剤取締法違反の罪に問われた須藤早貴被告
「YouTubeで過去事例を検索」“紀州のドン・ファン殺人公判”で明らかになった55歳年下元妻・須藤早貴被告の海外志向 逮捕で断たれたドバイで生活する「夢」
NEWSポストセブン
殺人と覚せい剤取締法違反に問われている須藤早貴被告
【有名な男優に会いたかった】ドンファン元妻・須藤早貴被告と共演した「しみけん」が明かす「彼女が面接シートに書いていたこと」
週刊ポスト
桂ざこばさんとの関係が深い沢田研二
【深酒はしなかった】沢田研二の「京懐石で誕生日会」にザ・タイガースのメンバーが集結!ただし「彼だけは不参加でした」
NEWSポストセブン
【1本30万円の出品も】サントリー100周年記念で社員に配られた「非売品ウイスキー」の高額転売騒動、広報部は「当社としては遺憾です」
【1本30万円の出品も】サントリー100周年記念で社員に配られた「非売品ウイスキー」の高額転売騒動、広報部は「当社としては遺憾です」
マネーポストWEB