なぜなのだろうか。機能的健康レベルは、ストレスが高いことや加齢によって低下することがわかっている。しかし、「自分は若い」と思うことで、ストレスによる健康への影響を弱める「緩衝効果」があるのではないかと、論文の執筆者は推測している。
また、「自分は若い」と思うことで、若さを保つために生活習慣を改善したり、自分自身をよくケアするようになる。だから、いっそう若々しさを自覚するようになるという、いいサイクルも生まれる。
よく「病は気から」と言うが、老いも「気」が大事ということが言えそうだ。
【プロフィール】
鎌田實(かまた・みのる)/1948年東京都生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後に長野県の諏訪中央病院に赴任。36年間、医師として地域医療に携わり、現在は諏訪中央病院名誉院長を務める。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。
※週刊ポスト2021年10月1日号