最新EVに引けを取らない爽快さ/アイミーブ(三菱自動車)
2009年にリース販売、翌2010年にリテール販売が開始された量産電気自動車の草分け、三菱「アイミーブ」。だが、登場が早すぎたか、はたまたお値段が高すぎたか、電動化の流れの中で主役になることなく今年3月、ひっそりとディスコンになった。
だが、アイミーブは非常にファントゥドライブなクルマだった。BEV(バッテリー電気自動車)とはかくも楽しいものなのかと乗った人に実感させるのに十分な加速の爽快さとハンドリングの良さを持っていた。
特に気持ちが良いのは高速やバイパスなどでよく使う40km/h~100km/hの領域。別に特別速いというほどではないのだが、スピードが上がっていっても失速感がなく伸び切るフィールが何とも言えず素敵だった。
ハンドリングは機敏でオンザレール感覚。床下一面に重い電池パックを搭載しているため重心が低く、サスペンションがとくに固いわけでもないのに小さいロールでS字カーブをキュンキュン駆け抜ける感じだった。楽しさ、爽快感に限って言えば、アイミーブは最新のBEVに一歩も引けを取っていない。
航続距離は短く、とくに筆者が600kmテストドライブを行った冬場は満充電でも120kmほどしか走れなかった。また、飛ばせば電気を目に見えて食うようになる。だが、短・中距離ドライブであれば、そのデメリットよりもこのクルマの魅力の部分である楽しさのほうが勝るだろう。
さてこのアイミーブ、BEVのご多分に漏れず、中古で買う時にはバッテリー劣化のリスクがある。初期型については走行距離僅少で価格は50~60万円台の捨て値で買えるタマがゴロゴロあるが、基本的にはバッテリーの改良で耐劣化性が大幅に改善した2013年秋の改良以降のタマを狙いたい。長く使った時の劣化率に歴然とした違いがあるという。
そしてアイミーブにはもうひとつ、急速充電耐性を含めた耐久性で定評のある東芝のチタン酸リチウムイオン電池を搭載した短距離版の「M」というグレードがある。こちらのほうはバッテリーチェックに問題がなければそれほど神経質にならずとも買ってOKだろう。