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山田久志氏、佐々木朗希の投球フォームを絶賛 長く活躍するカギはオフの過ごし方

通算284勝の山田久志氏が佐々木朗希の強みを解説(写真/共同通信社)

通算284勝の山田久志氏が佐々木朗希の強みを解説(写真/共同通信社)

 前代未聞の完全投球で無限の可能性を感じさせるロッテ・佐々木朗希(20)。プロ3年目ながら、唯一の400勝投手である“カネやん”こと故・金田正一氏の記録を超えることさえ期待してしまう。アンダースローで黄金時代の阪急でエースを張り、通算284勝の山田久志氏は、「佐々木のフォームは素晴らしいの一言に尽きる」と絶賛する。

「身長190センチで手足も長い。そういう選手が全身をフルに使って投げようとするとバランスを崩しがちですが、佐々木にはそれがない。そこが一番の凄さでしょう。

 左足を高く胸元まで上げる特徴的なフォームで、以前は“足を上げすぎ”と批判する評論家がいたが、私も足を高く上げるフォームだったので、バカなことを言うなと思っていました。全身を使い切れるバランス感覚があるから足を高く上げられるのであって、それは素晴らしいことです」

 山田氏は制球力に長けた“史上最高のサブマリン”と称されたが、佐々木のコントロールの良さにも感嘆する。

「フォームのバランスがいいから小手先の細工が必要なく、それにより制球も良くなっているのでしょう。よく“腕を振り切れている”という表現をしますが、佐々木は腕を振れば振るほどストライクが投げられるフォームです。私が制球力を身につけたのは、直球のスピードに自信がなくなってから。あの歳で腕を振り切って両サイドに投げ分けられるのは凄いことです。今の佐々木ならストライクゾーンに投げておけばまず打たれません。結果、ストライク先行となり、三振も取れる」

 一方で、全身を使い切るフォームだけに、体のケアが重要になるという。

「オーバーとアンダーの違いはあれど、私も全身を使うフォームだったので分かりますが、疲労度は大きい。肩やヒジのケア、全身を強くするスケールアップは必須でしょう。時代が違うと言われそうですが、私たちの頃は練習をしながら疲れを取った。オフでも腕や肩に完全休養を与えず、軽めのピッチングを週の半分はやっていましたね」

 17年連続2ケタ勝利を記録した山田氏は、長く活躍するにはオフの過ごし方も重要と強調する。

「これだけ活躍をすれば、間違いなくマスコミに引っ張り回される。長く勝ち星を積み上げるには、自分を見失わないようにオフを過ごすこと。あとは、ピッチャーという生き物は成績が悪いといろいろ細工をしがちですが、佐々木には必要ない。この先、ちょっと打たれたりした時に悩みすぎないことが大切でしょう」

【プロフィール】
山田久志(やまだ・ひさし)/1948年生まれ。1968年にドラ1で阪急に入団。1976年には26勝をマーク。最多勝3回、最優秀防御率2回。通算284勝。

※週刊ポスト2022年5月6・13日号

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