だが、そのおかげで、小野氏は警察に発見されなかった。
「都会に隠れる場合は、カネがすべてだから。カネ払って、ホテルかアパート借りて。カネ払って、飯食って。それだとカネが底をついた瞬間に警察に通報されて、終わり。マニラとかバンコクあたりで、所持金すった詐欺師がたまに捕まるでしょ。全部おんなじだよ」(小野氏)
フィリピンの辺境の地に溶け込み、“地元民”として働いた小野氏は潜伏中、フィリピン人の妻との間に2人の子供をもうけた。そして、自分自身と家族のために生き直すべく、1982年9月、自ら出頭する道を選んだのだった。出所後はマニラと日本で働き、6人の子供を育て上げた小野氏は、いま、妻とふたりで関西で静かに暮らしているという。
※女性セブン2022年6月23日号