緊急事態宣言中のキャバクラ通いでキツいお灸を据えられた元大関・朝乃山が、7月10日に初日を迎える名古屋場所でいよいよ土俵に戻ってくる。
問題の夜遊びは昨年5月場所中に発覚し、出場停止6場所と報酬減額の処分を受けた朝乃山。東の正大関だった番付は、先場所は西幕下42枚目まで落ち、名古屋場所の番付発表では三段目となる見込みだ。6月11日には稽古風景が公開されたが、幕下以下がつける黒のまわし姿だった。
「部屋の雑用もこなしているという。さすがに付け人やちゃんこ番は免除されているようです。ただ、朝乃山にしてみれば、3場所我慢すれば関取に返り咲けるという気持ちでしょう。三段目で優勝、幕下で2場所連続優勝すれば、十両に戻れる。十両も2場所で通過すれば、来年5月場所で再入幕できる計算です」(担当記者)
ケガによる休場で大関から序二段まで番付を落とした照ノ富士や、朝乃山と同じガイドライン違反による出場停止で幕下まで落ちた阿炎、竜電が復帰後は周りを寄せつけずに関取、幕内に復帰したことを考えても、幕内上位を経験した力士と幕下クラスでは勝負にならないことは明らかだ。
「同じ高砂部屋の関取には十両の朝乃若がいるが、かつての朝乃山の付け人。稽古の公開日には朝乃山が9勝3敗と圧倒していた。少なくとも十両までは無敗で返り咲くのではないか」(協会関係者)
朝乃山は四つ相撲なので、力量差のある相手を突き押しでケガさせる相撲になる心配はあまりないが、幕下力士らにとって“迷惑な話”なのは間違いなさそうだ。
「阿炎が幕下まで落ちた時には周りが気の毒でした。幕下の優勝賞金は50万円で、給金がない幕下力士にとっては喉から手が出るほど欲しい。しかし阿炎は2場所続けて幕下優勝して50万円を独占し、十両でも優勝して200万円を手にした。今回の朝乃山はこれに加えて、三段目の優勝賞金30万円もあるだろうから、合計330万円。周りの力士からすれば、朝乃山を倒して注目されたいという気持ちより、“早く幕内に戻ってくれ”という感情が強くて当然です」(ベテラン記者)
とはいえ勝ち続けるしか名誉回復の道はない。茨の道はまだ続く。
※週刊ポスト2022年7月1日号