コンテストでは「ピーター・ポール&マリー」の楽曲のコピーを、素晴らしいハーモニーで奏でていました。私自身、高校時代に「ピーター・ポール&マリー」に非常に影響を受けていたので、より親近感を覚えたといいますか、同じ音楽体験を経ているのだと嬉しくなったことを思い出します。
小田さんの音楽は、音符ひとつ粗末にしない、完成度の高さが特徴です。この音に乗せる音はこの音でなければならないという、カチッとした構成力。ノリや雰囲気で何となく作られる音楽とはまったく違います。たとえとして正しいかどうかは分からないけれど、まるでクラシックのように、音楽としてしっかりとまとまった構成なのです。
小田さんは毎年、『クリスマスの約束』(TBS系)という音楽特番をやっていらっしゃいます。ここでいろんな歌手を招いてライブを開いているのですが、おそらく、リハーサルの量が半端ではないと思います。どれだけ練習したんだ、というレベルの高いステージを毎年、披露してくれているんです。ここでも、小田さんの完成度の高い音楽の構成力が発揮されています。
2年ほど前に、オフコースの音源をマスターテープからリマスターした高音質のCDを試聴させていただく機会がありました。それを聴いた時も驚きました。オフコースの音楽はロマンティックだったり、センチメンタルというイメージが強いと思いますが、高音質の音を集中して聴くと、ものすごいバンドの温度感といいますか、“熱”を感じることができます。
『LOOKING BACK』はセルフカバーということで、ご自身のやってきたことをもう一度見直して、楽曲に新たな生命を吹き込んでいる。そういう点で、『LOOKING BACK』は「1」と「2」がありますが、2枚とも頭から終わりまで、どの曲も全部が好きです。
オフコース時代の楽曲と、ソロになってからの楽曲、ぜひ聴き比べてみてください。さまざまな発見があるはずです。