――日本映画だと日本でのネームバリューをどうしても重視してしまいますが、ハリウッドの人はそれを知らないから、ゼロから判断できる、と。
奈良橋:向こうも最初は「まあ、なるべく売れてるほうがいい」と言うこともありますが、結局は全く関係なくなる。ですから、こちらが「この人」と思った人をバンバン推薦できるわけです。
――現場での福本さんはいかがでしたか?
奈良橋:ニュージーランドでの撮影は、一人ずつ滞在用の家を提供したんです。その家も私が選んでいくわけです。それぞれに「ここなら、この人に合うかな」って考えながら。
清三さんはよくライスカレーを作って、謙さんや真田さん、みんなを家に呼んでいました。そこでみんな楽しく過ごしていましたよ。
【プロフィール】
奈良橋陽子(ならはし・ようこ)/ニューヨークのネイバーフッド・プレイハウスで学ぶ。演出した舞台・映画『THE WINDS OF GOD』(1995)は「国連芸術賞」「日本映画批評家大賞」受賞。現在はキャスティング・ディレクターとしても活躍しており、映画『ラスト サムライ』『SAYURI』『バベル』『終戦のエンペラー』など話題作を次々と手がけている。
【聞き手・文】
春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。
※週刊ポスト2022年11月4日号