これは特に時代劇の分野で言われていたことで、有名な作品では、黒澤明監督、三船敏郎主演の『七人の侍』(1954年)がある。また、悪徳殿様抹殺のため、大名行列を襲撃する刺客となった武士を描いた工藤栄一監督の名作『十三人の刺客』(1963年)は、のちに三池崇史監督によって再映画化され、1990年には仲代達矢主演、2020年には中村芝翫主演でドラマ化もされている。
このほか、五社英雄がテレビでヒットさせた『三匹の侍』、柴田錬三郎原作ドラマ『われら九人の戦記』、岡田茉莉子ら名女優が揃った大河ドラマ『三姉妹』、高橋英樹・春風亭小朝・役所三人の勧善懲悪旅日記『三匹が斬る!』、1999年には実年齢合計207歳の丹波哲郎・谷啓・里見浩太朗のとぼけたご隠居トリオが息を切らして悪を斬る『痛快!三匹のご隠居』も人気を集めた。
私は『十三人の刺客』原作者の池宮彰一郎(池上金男)氏に裏話を聞く機会があったので、早速「13」にした理由を訊ねたところ、やはり奇数の“ジンクス”を意識し、なるべく他の作品で使われていない数字にしたかったとのことだった。なるほど…。
『鎌倉殿の13人』の御家人十三人の合議制は有名な話だが、13は、昔から西洋では忌み数とも言われているようで、長年、世界中の人を怖がらせた映画やドラマ『13日の金曜日』シリーズを思い出した人も多いのではないか。
ただし、日本には平安時代から京都で始まったとされる「十三詣り」で子どもの成長を祝う習慣もあり、おめでたい数字ともいえる。不穏なイメージと幸せなイメージが交錯する「13」が、今年の大河ドラマによって、ドラマチックな数字として記憶に残るのは、間違いない。