「減塩」は必要ない
高血圧と診断された患者には「減塩」指導がなされることが多いが、その点も加藤氏は懐疑的だ。
「治療ガイドラインでは1日あたりの食塩摂取目標値を『6g未満』と設定しています。しかし、世界32か国52か所で約1万人の男女を対象にした大規模調査(1988年)では、日本や中国と比べて食塩摂取量の少ない欧米のほうが高血圧の有病率が高いことがわかりました。減塩が死亡率を高めることを示唆する米国の研究もあるほどです」
高血圧だからといって食生活を変えたり、減塩に躍起になる必要はないという見解だ。
また加藤氏は、血圧が年齢とともに上がるのは自然なことで、自身の「肺年齢」や「血管年齢」を教えてくれるバロメーターだと見ている。
「血圧が上がっても、戻す機能が働いていれば問題はありません。高血圧の背景には必ず筋肉や肺、血管の老化が隠れています。血圧とは、肺年齢(酸素を取り込む力)や血管年齢(血管のしなやかさ)を示すバロメーターともいえる。
身体の要求に従って上下する血圧を薬で強制的に下げる対症療法は、心臓や脳、血管の何らかの病気のサインをわからなくしてしまう危険なことでもあるのです」
ただ、症状によってはすぐに受診すべきケースもある。加藤氏が「注意すべき危険なパターン」とするのが、「数値の急な上昇」(心臓や脳に病変が起こっている可能性)、「(数値の上昇とともに)ろれつが回らない」(脳梗塞の可能性)場合などだ。
「また、周囲から異常を指摘された時には耳を傾けましょう。重篤な病気のサインを見過ごさないためにも、何か異変を感じたら、迷わずに医師に相談することが重要です」
※週刊ポスト2023年3月10・17日号