芸能

かまいたち、ニューヨーク、ザキヤマ…なぜ旬のタレントが旅番組に出るようになったのか

ダウンタウンとの共演NG説が番組で検証されたこともある

アンタッチャブル山崎も旅番組に

 旅番組といえばかつてはベテランタレントが起用されるケースが多かったが最近では、30、40代の旬のタレントたちが出演するケースが増えている。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんがその背景について解説する。

 * * *
 4日(土)18時30分から、2時間半特番『土曜スペシャル ザキヤマの街道歩き旅5 川越街道~児玉往還~下仁田街道へ』(テレビ東京系)が放送されます。

その内容は「小江戸・川越から世界遺産・富岡製糸場を目指して1泊2日で街道を歩く」という旅番組ですが、注目はアンタッチャブル・山崎弘也さんがメインを務めること。アンタッチャブルと言えば、4月11日に冠番組『ひらけ!パンドラの箱 アンタッチャブるTV』(火曜21時~、カンテレ・フジテレビ系)のスタートが発表されたばかりであり、特に山崎さんはトップクラスの売れっ子として多くの番組に出演し続けています。

 旅番組と言えば、『ブラタモリ』(NHK)のタモリさん(77歳)、『じゅん散歩』(テレビ朝日系)の高田純次さん(76歳)、『路線バスで寄り道の旅』(テレビ朝日系)の徳光和夫さん(81歳)。あるいは、『ぶらり途中下車の旅』(日本テレビ系)、『遠くへ行きたい』(読売テレビ・日本テレビ系)、『ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅』や『鉄道沿線歩き旅』(テレビ東京系)などの出演者を見ても、「50~70代のベテランタレントが出演する番組」というイメージが強いのではないでしょうか。

 しかし、実は山崎弘也さん(47歳)の冠特番が5回目の放送であるように、旅番組は現役バリバリの売れっ子タレントたちにとっても重要な存在になりはじめているのです。

出演者が50代から30・40代にシフト

 実際、8日に『かまいたちの名所名物先取り旅 第5弾 春の栃木決戦!日光~宇都宮』(テレビ東京系)というゴールデン特番が放送されたばかり。2人の年齢は、山内健司さん(42歳)、濱家隆一さん(39歳)であり、こちらの冠特番も5回目の放送です。また、かまいたちは昨秋から『イタズラジャーニー』(フジテレビ系)というレギュラーの旅番組もスタートしました。

 共演のチョコレートプラネットとともに、「今最も忙しいタレント」と言われているにもかかわらず、遠方のロケを重ねていることに驚かされます。ちなみにチョコレートプラネットの年齢は、長田庄平さん(43歳)、松尾駿さん(40歳)。

 また、2022年TV番組出演本数ランキング1位のオードリー・春日俊彰さん(44歳)も、昨年11月に『水バラ 紅葉の絶景ルートぐるり一周対決旅 大人気の会津・那須塩原へSP』に出演し、“体力チーム”のリーダーを務めました。さらに、『ニューヨークの入浴旅』(テレビ東京系)も、昨年スタートしてすでに2回放送。2人の年齢は、嶋佐和也(36歳)、屋敷裕政(37歳)です。

 定番の『ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅』も最近では太川陽介さん(64歳)の対戦相手を河合郁人さん(35歳)や村井美樹さん(43歳)が務めるケースが目立つようになりました。旅番組が50代以上のベテランから30・40代の中堅タレントにシフトしはじめている様子がうかがえます。

 なぜ山崎弘也さん、かまいたち、ニューヨーク、春日俊彰さんらバリバリのトップタレントが多忙であるにもかかわらず、遠方のロケが欠かせない旅番組に出演しているのでしょうか。

旅番組のターゲット層を広げたい

 これまで旅番組に50代以上のベテランタレントが多かったのは、昭和のころから旅が中高年層に人気のジャンルだから。同世代のタレントを起用することで、親近感を抱いてもらうとともに、「旅気分を味わってもらおう」という狙いがありました。一方、タレント側から見ると、旅番組は観光、食、買い物など笑顔で楽しむシーンが多くなるため、「出演することで好感度が上がる」と言われ、貴重な仕事の1つだったのです。

 そんな旅番組が現役バリバリのトップタレントに広がっているのは、「中高年層だけでなく、それ以下の層にも、それなりの知名度があるタレントを起用して幅広い年代の個人視聴率を獲得したい」という制作サイドの意図によるものでしょう。約3年前に番組の評価指標が世帯視聴率から個人視聴率に変わり、さらにスポンサーが求める10~40代が重点ターゲットになったことで、「中高年層が獲れれば視聴率は大丈夫」ではなくなりました。

 起用されるトップタレント側から見ても、たとえば若年層の人気が高い、かまいたちやニューヨークは旅番組に出ることでファン層を上の年代に広げるチャンス。さらに、他のバラエティとは異なる表情を見せられるなど好感度も上がるだけに、「忙しくてもスケジュールを空けてぜひ出ておきたい」と判断するのも納得なのです。

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