国際情報

米ニューヨークで中国の「秘密警察」が摘発される 同時に公安部工作員34人も訴追

中国の公安組織が米国内に浸透?

中国の公安組織が米国内に浸透し、米議会が警戒

 米検察当局は4月17日、ニューヨーク市マンハッタンのチャイナタウンで中国の「秘密警察署」を運営した疑いで、同市在住の中国人の男2人を逮捕したと発表した。これに関連して、米当局は同日、偽のソーシャルメディアアカウントを使って米国内の中国反体制派人士らを脅迫したなどとして、中国公安部直轄のエリート組織「912専項行動工作組(以下、「912」)」の工作員34人を訴追したこと。同工作組の存在が明らかになるのは初めて。

 中国の公安組織が米国内に浸透し、予想以上に活発な諜報活動を行っているとして、米議会では中国共産党の非合法活動を禁止する法案提出の準備が進んでいる。米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」が報じた。

 逮捕されたのは盧建旺容疑者(61)と陳金平容疑者(59)の2人で、共謀して中国政府の代理人として行動し、米国内で司法妨害を行ったなどの疑い。裁判で有罪とされた場合、両容疑者は最長25年の禁錮刑となる。

 検察当局によると、2人は「912」の指示に従って、中国反体制派への嫌がらせなどの「抑圧活動」に2015年から協力してきたという。2018年には、中国からの逃亡者とされる人物やその家族に嫌がらせや脅迫を繰り返すなどし、帰国を強要。また、中国の民主化運動家の居場所の特定にも協力した。

 在米中国人人権弁護士で、シカゴ大学人権センターの滕彪客員教授の調べによると、「912」の工作員は中国のほか、アジア諸国に拠点を持ち、米国など世界各地の中国反体制派を標的にすることを活動目的にしているという。

 滕氏はVOAに対して、「私のパソコンと携帯電話は、彼らから常に攻撃を受けている。 少し前に、私の『テレグラムアカウント』は彼らにハッキングされ、インターネット上では『殺害予告』も受けたことがある。このようなことは多くの中国の反体制派人士が経験している」と指摘する。

 米フロリダ州選出のリック・スコット共和党上院議員は、中国共産党の秘密警察がアメリカの裏庭で諜報活動を行うのを阻止するために『中国共産党警察活動阻止法案』(Ban Chinese Communist Police in America Act)を提出し、早期の可決へ準備を進めているという。

 これに対して、中国外務省の 汪文斌副報道局長は18日の記者会見で「事実無根」と反論し、中国警察の出先機関は「存在しない」と否定した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
外交ジャーナリスト・手嶋龍一氏(左)と元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が対談
【手嶋龍一氏×佐藤優氏対談】第2フェーズに突入した中東情勢の緊迫 イランの核施設の防空網を叩く「能力」と「意志」を匂わせたイスラエル
週刊ポスト
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン