ピント調節機能を回復するには、目の調節レンズである水晶体の厚みを調整する「毛様体筋」のストレッチがいい。
「遠近を交互に見ることで毛様体筋を伸び縮みさせて、目のコリの解消とピント調節能力の回復につながります」
具体的には「親指スライドストレッチ」(別掲図A)に取り組んでみよう。
「顔の前に親指を立てて爪を目の高さに合わせ、できるだけ顔に近づけたら、見つめたまま1秒かけて遠ざける。それから3秒かけてゆっくり元の位置に戻します。さらに、適宜2m以上遠くにも視線を合わせるとより効果を得られます」
一方、目を上下左右に動かす「外眼筋」のストレッチも重要だという。
「外眼筋は目をぐるぐる回したり、寄り目にしたりと、眼球の向きを変える時に使われます。外眼筋が硬くなると様々な目の不調の原因になります」
そこで効果的なのが「親指渦巻きエクササイズ」(別掲図B)だ。片手を前に突き出して親指の爪を見つめ、顔よりも大きな円を描きながら手を顔に近づける。
「目は親指の爪を追いかけるのがポイント。親指の爪が顔に近づいたら、逆回りの円を描いて手を少しずつ遠ざけます。外眼筋が伸縮し、血流や動体視力を改善して疲労を和らげます」
これらのストレッチは1日に何回やってもいい。自らの取り組み次第で目の健康寿命を延ばせる余地は大きいと言えそうだ。
※週刊ポスト2023年5月5・12日号