自著でキャプテンの信条をこう記している。
〈誰よりも体で示す。誰よりも走って誰よりも体を張り続ける。誰よりも声を出して、周りにエナジーを与え続ける。誰よりも楽しむ〉
いまや彼の代名詞となった「ジャッカル」こそ、チームのために体を張るプレー。あの献身的なプレーは前線で身を削っているからこそ、為し得る技なのだ。背中で語る姿勢が徐々に周囲の信頼を勝ち取っていった。
8月15日のW杯日本代表メンバー発表でキャプテンに指名された姫野。これはかねてからの目標だったという。元チームメイトの話。
「姫野が自宅に招待してくれたことがあるのですが、目標を書いた張り紙が壁に何枚もあるんです。そのなかには『2023W杯でキャプテンになる』『努力を続ける』と書いたものがあって。書くことで現実になる、と言っていた姫野が有言実行しましたね」
前出の藤島氏は、姫野のキャプテンシーにこう期待を寄せる。
「姫野は『チームに火をつけるのが自分の役割』と話していました。理屈や言葉でチームメイトを鼓舞するというよりは、感情を露わにしたプレーでチームを勢いづける。勢いがつけば、予選突破の可能性も膨らみます」
困難に打ち勝つ姫野の「突破力」が、日本代表を導く。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2023年10月6・13日号