芸能

放送直前で「×××」を外した『新空港占拠』の狙いは?『VIVANT』との違い

『新空港占拠』

PR戦略に注目が集まる(『新空港占拠』Xより)

 新年になって連続ドラマが相次いでスタート。出演俳優が番組に出演するなどしてPRを行っているが、意外なPR戦略をとったのは櫻井翔主演ドラマの『新空港占拠』(日本テレビ系)。その狙いについてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 13日夜、ドラマ『新空港占拠』(日本テレビ系)がスタートします。

 同作はちょうど1年前に放送された『大病院占拠』のシリーズ第2弾であり、主人公の武蔵三郎(櫻井翔)が、面で顔を隠した武装集団に占拠された場所で、人質を救うために立ち上がるタイムリミットバトルサスペンス。前回は“大病院”でしたが、今回は“新空港”が舞台になることが明かされています。

 ただ、同作は最初に発表された昨年11月24日から放送1週間前の今年1月6日まで、『×××占拠』というタイトルが明かされていました。つまり、第1話の放送直前まで「どこが占拠されるのか」の場所を“×××”という形で隠していたのです。

「あえて情報を隠しながら直前で公開する」というPR戦略には、どんな意図と背景があるのでしょうか。

情報を隠して期待感を高めたい

 制作・放送が発表されたとき、櫻井さんはタイトルと占拠場所のヒントとして、「個人的には結構好きな場所で、どちらかというとワクワクして、楽しみが膨らんでいくような場所」「『大病院占拠』より事件のスケールも大きくなっているので、新たな舞台も楽しみにしていただけたら」などとコメントしていました。

 その後も、“占拠の舞台となる施設にかかわるキャスト”を公開したり、占拠場所や武装集団をほぼ全面モザイクで隠した仮ビジュアルを期間限定で掲出したり、龍の面をかぶった武装集団リーダーの姿を公開したり……情報を小出しにしながら期待感をあおるような形でPRは進められ、放送1週間前に占拠される場所が“新空港”であることが明かされました。

「あえて情報を隠して期待感を高める」というPRで思い起こされるのが昨夏のヒット作『VIVANT』(TBS系)。同作は一部キャストと海外ロケ以外の情報をほぼ隠し、どんなキャラクターのどんな物語かすらわからない状態で第1話が放送され、その後も序盤は“VIVANT”というタイトルの謎を明かさぬまま物語を進めていきました。同作の成功はいくつかの要素が考えられるものの、「あえて情報を隠して期待感を高める」というPRも、その1つとみなされています。

 その点、今冬の『新空港占拠』は『VIVANT』ほど情報隠しを長引かせず、第1話の放送前に情報を解禁しました。これは「それぞれの制作スタッフ、引いては日本テレビとTBSの考え方が違う」ということでしょう。TBSは『VIVANT』という勝負をかけた大作で思い切って序盤まで隠すというPR手法を取った一方、日本テレビは「隠す」ことの効果を狙いつつもリスクを避けて放送前に解禁するPR手法を選んだように見えます。

 言わばTBSは大胆で大きなPR手法を採り、日本テレビは堅実で小さなPR手法を積み重ねたということ。実際、前作の『大病院占拠』も、「俳優に色違いの鬼の仮面をかぶせて正体を当ててもらう」という仕掛けがあったほか、「主人公に『ウソだろ?』というお約束のセリフを作る」「軽めのアクションシーンやCGを織り交ぜる」など若年層の反応を狙った小さな手法を積み重ねるという制作スタンスが見られました。

 決してどちらがいいというわけではありませんが、すべての年齢層や世界の人々を狙って一か八かの大きな手法を取った『VIVANT』とは異なるスタンスなのでしょう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン