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「篠山紀信さんは命の恩人」元祖グラドル・水沢アキが語る「篠山先生との45年間」

2020年12月5日に行われた写真集の出版記念イベントにて。当日は水沢、2日前は篠山氏の誕生日とあり、この後”いて座の誕生会”も催された(写真提供/水沢アキ)

2020年12月5日に行われた写真集の出版記念イベントにて。当日は水沢、2日前は篠山氏の誕生日とあり、この後”いて座の誕生会”も催された(写真提供/水沢アキ)

「篠山先生には45年もの長い間、撮影をしていただきました。先生の作品は私の人生そのもの。1枚1枚にその時代の自分の生き様も、その瞬間の繊細な感情の揺れも、すべてが詰まっています」──写真家の故・篠山紀信氏(享年83)撮り下ろしによる写真集『AKI MIZUSAWA 1975-2020』(2020年刊)を開くと、水沢アキはそう語った。自分を45年撮り続けた写真家は「先生だけ」と明かし、それはカメラを向け続けた篠山氏にとっても同じだった。昭和から令和まで3つの時代に跨る軌跡を水沢が今、振り返る。

 芸歴52年目となる女優の水沢は、元祖グラビアアイドルとしての顔も持つ。その歩みは1975年に『GORO』に掲載された、篠山氏の激写シリーズから始まった。撮影当時、水沢は19歳。グアムで撮影されたグラビアは強烈なインパクトを放ち、人気が沸騰して『GORO』のグラビア最大のスターに成長した。

「19歳のグラビアが大好評だったので、23歳でも再びグアムを訪れました。実はその時にちょっとだけ、ヌードになりました。“今の私”を残しておきたいと、ほんの数枚。記念のオフショットだからと安心して、とっても明るい顔をしているの(笑)。『AKI MIZUSAWA 1975-2020』に入っていますが、笑顔いっぱいのヘルシーなカットです。

 その2年後、ハワイでグラビアを撮ることになりました。でも、自分としては25歳で脱ぐつもりはなかったんです。飛行機に乗るまでマネージャーから(そのことを)隠されていたこともあって、撮影では表情も浮かないし、途中で泣いてしまって。先生は『もし気持ちが戻ってきたら再開しましょう』とただそっと、折れた心に寄り添ってくださいました。結局どうしてもその気にはなれなくて、実は私……、たったひとりで抜け出して帰国してしまったんです」

「子育てを頑張っている姿を、堂々とさらけ出した」

 吹っ切れたのは、30歳の時だった。

「“私は女優として生きる”と覚悟を決めると迷いも消えて、今度は自ら申し出ました。ロケ地は鎌倉と軽井沢。ハワイとは別人のように撮影へのめり込み、先生が描いた芸術的な世界観を全身で表現することができました」

 1985年の鎌倉、軽井沢での撮影を経て、翌年に刊行された激写文庫『水沢アキの情熱』はベストセラーとなった。その後は、篠山氏の撮影で『週刊ポスト』に登場。150万部完売となった伝説の合併号で巻頭を飾るなど、“グラビアの女神”として君臨した。

「私生活では妻となり、母となり、30代は『P.and』という育児雑誌でマタニティフォトや子供たちの新生児フォトも、撮っていただきました。ヌードはその後、40代で2回。40歳は写真集『AKI MIZUSAWA 1975-1995』(1995年刊)の撮影でした。バストは下がっていたし、顔にも年齢が刻まれていましたが、母乳で育児をして、子育てを頑張っている証だと、堂々とさらけ出しました。

 43歳の写真は、『週刊ポスト』のグラビアのロケで撮っていただいたものです。40代だから表現できる煽情的な姿を切り取っていただきましたが、電車の中吊り広告に出てしまったら、子どもたちが学校でつらい思いをするかもしれない。そう考えて、掲載は見送りにしてもらったんです。母親としての判断でしたが、先生はこの時も私の気持ちを尊重してくださいました。子育ての時期は学校帰りの息子と娘を連れて『ポスト』のグラビアのネガ選びに行ったりしていたので、子供たちも先生が大好きでしたね。絵が得意な娘は“もじゃもじゃヘアの篠山さん”と言って先生の似顔絵を描いたりして、遊んでもらっていました」

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