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2011.03.25 16:00

少子高齢化の日本で最高級レストランが閉店するのは道理か

 1980年代後半、米証券会社ソロモン・ブラザーズに入社し、同社の高収益部門の一員として活躍し、巨額の報酬を得た後に退社した赤城盾氏。同氏がかつて通った高級レストランが相次いで閉店を発表したというが、それについて何を思うのか。

 * * *
 昨年末、松屋(百貨店)の関連会社が手がけていたエノテーカ・ピンキオーリという東京・銀座のイタリア料理屋が閉店した。四丁目交差点からほど近い雑居ビルの7階、雑踏から発した共同エレベーターを降りれば正に別世界、日本有数のワインコレクションを擁する上品で静謐な空間が消滅してしまった。

 さて、同じく銀座の並木通りでは、資生堂が経営するロオジエという1973年開業の老舗のフランス料理屋が今年の3月末で一時閉店する。

 寂しい話のようであるが、実は、客の立場からしてみても、身なりに気を配り、およそ3時間にわたって姿勢を正していなければならない高級レストランでの晩餐は、気力と体力が充実していてこそ楽しめるものである。少子高齢化が進み、長期的な経済の縮小期に入った日本で、華やかな祝祭の場が減少するのはまったく理にかなっている。

 もちろん、年はとっても旨いものを食いたいという欲求がなくなるわけではない。ただ、高級レストランの持つ豪華な雰囲気には価値を見出さなくなり、きまりとして提供される料理の量は健康を考えれば過剰となる。

 これからの日本に求められるのは、むしろ、気軽に、欲するだけの分量の食事を、できれば上質なグラスワインと共に楽しめる場所なのである。パリでも、豪華な三つ星レストランはフランス語よりも英語を話す客のほうが多い、いわば観光施設である。

 実際、東京ではそういう使い勝手のいい飲食店が着実に増えている。高級レストランで鍛えられた人材はそこで生きるのである。ロオジエもエノテーカ・ピンキオーリも、決してバブルの徒花であったわけではない。

※マネーポスト2011年3月号

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